13日、木曜日の晩、Café OTOで見ました。
告知のあたまにはなにがそうなのか知らんが”Surprise Show”とあって、突然アナウンスされたやつなのかしら? お代は£18。
今はロンドンに住んでいるようで、Café OTOではいついってもなんかいたり演ったりしているふうのThurston Mooreさんだが、これは12弦エレクトリックギターを中心にしたアンサンブルのライブで、DrumsがSteve Shelleyさんだったので行くことにした。他のメンバーにはMy Bloody Valentine / Primal ScreamのDeb Googeさんとかがいて、だからかBobby Gillespieが客席にいたり(あれ彼よね? どうみても)。
前座なしの2部構成で、最初のセットはこのアンサンブルが秋にリリースしようとしている新作 – “ALICE MOKI JAYNE” - Alice Coltrane, Moki Cherry, Jayne Cortezの作品にインスパイアされたもの – である(とThurstonから説明があった)。
Deb Googeさんだけ6弦(ベースじゃなかった? たぶん)、Thurstonを含むあとの4人は全員12弦で、1時間10分くらい延々、緩急とか濃淡をつけながらノンストップで、12弦のクリアに広がっていくトーンとがじゃがじゃ目の細かいヤスリの音と削りカスが床を埋めていくので、ギターの音好きにはたまらない気持ちよさ。終わるかに見えて終わらない波が数回来て頭の奥がじんわりとマヒしていく快楽。
ゆるい休憩を挟んでふたつめのセットは、”8 SPRING STREET — an homage to Glenn Branca”ていう、これも一曲のみで、このアドレスはGlenn BrancaがNYで最初に住んだアパートがあったところで、Thurstonも彼のGlenn Branca Ensemble のリハでよく通った場所だという。Spring St.がBoweryに突き当たる手前のとこで、自分もBowery Ballroomのライブに行くときに何度も通ったなあ。 いまあの辺の家賃はどれくらいなんだろうねえ。
こちらのギターは全員6弦で、前のと比べるとシャープでメタリックなかんじではあるが、なんにしてもこの気持ちよさは異様だよね、だった。
Rolling Thunder Revue: A Bob Dylan Story by Martin Scorsese (2019)
音楽関係で、終わらない夢のようなやつ、ということでついでに書いておく。
15日土曜日の晩、Prince Charles Cinemaで見た。 前の週にBFIでpreviewがあったのだが売切れで無理で、他の映画館ではやってなくてここだけ。NetFlixで見れる、のだろうがこんなのでっかい画面のでっかい音のがいいに決まってるし。 142分だったけどぜんぜん足らない。もっと。
たんに当時の映像を繋いだだけではなくて、現在のBob Dylanが当時のことを振り返りつつ語るかたちを取っているのだが、75-76年のRolling Thunder Revue自体がでっかいサーカスのような、からから回っていくいんちき劇団のような体裁で動いていたものだからどっち側の言い分も極めて怪しいかんじで、あれの総体がなんだったのかはちっともわからない。だからといってつまんないかというとその逆で、バンドの音も彼の歌もちらっと出ては消えていくいろんな人たちも全て全員が強烈に印象に残ってリアルで、もっと見せて.. と思ったときには次の場面に移っている。夢みたい、というのはこういうときに。
初めのほうでPatti SmithがEric Andersenと一緒にどこかバーの隅っこで”Archers Song”を吠えるとか、Joni Mitchellが床に座ってつっかえたりしながらDylanとRoger McGuinnに”Coyote”を聴かせるとか、子供のような(子供だけど)Sharon Stoneとか、見つめ合うDylanとJoan Baezとか、ただの怪しいおじさんにしか見えないAllen Ginsbergとか、編集してないやつぜんぶ見せろ、になってくる。
タイトルに”by Martin Scorsese”てついているのは、この中にも出てくる自称”Film Maker”のMartin von Haselbergがいつまでもきちんとした形でリリースしないで俺がやった自慢ばかりしているものだから、Martyがお前もういいからちょっと貸せや、って自分の剪定バサミでざくざくじょきじょきやっちゃった、そういうことなのではないか。 ほんとうはほぼ同時にリリースされたBox set(CD14枚)と同じくらいの分量で出してくれたってよかった。 そういう、撮るほうも撮られるほうも音楽「ドキュメンタリー」としてあろうとした、稀有な音楽ドキュメンタリーなのだと思った。
それにしても今とはぜんぜん違う怪しい目つき(+白ぬり)、声のハリ、歌い方/喋り方、佇まいのBob Dylan、とにかく彼を見てほしい。
最後の方で当時のプロモーターが収支はめちゃくちゃだった、って腹立たし気に言うとこが痛快で。
ロジとか快適さとか思い出作りがぜんぶ計算されてパッケージされた温室みたいなフェスに出るのが夢になっちゃっている現代のミュージシャンたちがかわいそうになるくらい、彼らの野生のかっこよさが際立ってさー(嘆)。
エンドロールで、Dylanの現在までのライブ履歴がぜんぶ出るのだが、本当にライブのなかで生きている人なんだなあ、って。
日本では一番最初に、ぜったい爆音のお祭りでぶちかましてほしい。
6.19.2019
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