6.24.2019

[film] You Can Count On Me (2000)

16日、日曜日の午後、BFIで見ました。日本ではビデオリリースのみ、だって。こんなにおもしろいのにさ。

上映前のイントロでMatthew Broderick本人が登場するというので、そりゃ行くわ、になった。なんで彼が突然現れたかというと、彼はいま(~8月迄)West Endで本作の監督Kenneth Lonergan原作の演劇 “The Starry Messenger”に主演しているから(演出はSam Yates、共演はElizabeth McGovern。そのうち行く)。  まあ日曜の午後にFerris Buellerがやってくるのであれば、会いに行くのは当然よね。

イントロというよりは座って少しお話ししてくれて、Kenneth Lonerganとは高校が一緒で15歳くらいのときから互いに知っていて、大学に進んだあともNYの演劇サークルで顔を合わすこともあって、だからこの、彼の長編監督デビュー作に出るのも二つ返事だったし、演技で彼が求めていることもだいたいわかるし、とか。 そうなんだー、しかない。

NY郊外の田舎 – Catskill – 昔一度だけ行ったことある – で冒頭、車に乗っている夫婦が交通事故にあうところと、自宅でふたりの帰りを待っている子供たち - 姉弟 - とそれに続く両親のお葬式があって、やがて子供たちは大きくなって姉のSammy (Laura Linney)はシングルマザーで、銀行に勤めながら一人息子のRudy (Rory Culkin – これがデビュー)を育てていて、ある日弟のTerry (Mark Ruffalo)が訪ねてくるのだが、彼はずっと不良でふらふらしていたのであまり歓迎されていなくて、近況を聞けば少し刑務所に入っていたとかいうので姉はあんたなにやってんのよ!てしばいて、でも女友達が自殺未遂したり悲惨で、他に行き場もないようなのでしばらく置いてあげることにする。

Sammyの勤める銀行には新しいマネージャーのBrian (Matthew Broderick)が来て、はじめ人あたりは良さそうだったのだが、Rudyの送り迎えでこれまで許されていた勤務時間の調整をぜったいダメ、って言ったりPC画面の色を勝手に変えるな、とかいちいちネチネチ絡んできてなんか面倒なかんじでやってられない。それとは別に昔から付きあっているBFのBob (Jon Tenney)と情事を重ねたりしているといきなりプロポーズされてびっくりしたり。

お話しはなかなかしっくりいかないSammyとTerryの姉弟仲と、ごろごろしつつ家の修繕したりプールバーに行ったりしているTerryとRudyのやりとりと、SammyとBobの関係に加えてなぜかいきなり関係が始まってしまった(ここ、おもしろ)SammyとBrianの間とを追いながら、悩んだSammyは教会に告解に行ったり(牧師役は監督本人)、ほぼみんないい大人なのになかなか互いに信頼されず・できずにずるずる悶々と同じサークルを回っている人々を描いてとってもおもしろい。

放蕩息子の帰還というテーマだと最近の”Manchester by the Sea” (2016)に近いかもだけど、あれよりはやや軽くて、笑えるところもいっぱいある。最後のほうでTerryはRudyに実の父親 - Rudy Sr. (Josh Lucas)を見せてやろう、って会いに行くのだが..

細かい会話を積み重ねていくなか、そこに突発的な事故や事件をねじ込んだりしたらその関係たちはどんなふうに影響を受けて、その前後でそれぞれの会話のありようはどう変わっていくのか、を少し離れて眺めているかんじのKenneth Lonerganタッチは既にあって、改めて”Margaret” (2011) – 3時間バージョンの方を改めてみたいよう。

俳優陣はこないだ見た”In the Cut” (2003)よりも更に若くて漲っていて、Rudyと一緒になって笑ったり泣いたりどっちが大人なんだか、のMark Ruffaloは既にじゅうぶん彼になっているし、Laura Linneyのひきつってとんちんかんでおろおろ勝手に転がっていってしまう挙動も素敵としか言いようがなし、Matthew BroderickのFerrisが180度暗転したかのような隙のない嫌な奴っぷりは彼ならでは、だと思った。

まったく同じキャストで20年後の彼ら、を撮ってくれないかしら?  “You Can Still Count On Me” って。

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