11.23.2017

[film] Susperia (1977)

14日、火曜日の晩、Barbicanで見ました。 上映後にDario ArgentoとのQ&Aつき。

こないだの夏にNYに行ったとき、Metrographでこれの"uncut Italian 35mm print"ていうのの上映をやっていて、でもどの回もぱんぱんに売り切れていた。
これはおそらくそっちのではなくて、4Kリストア版のリリースを記念したもの。

上映前の挨拶にもDario Argentoさんは登場して、もっとゴスでおっかなそうな人かと思ったら上機嫌なイタリアのおじいさんのようなかんじ。

"Susperia"は70年代の公開時にはひとりでは見てはいけないことになっていたので、とうぜん見ていなくて、見たのは割と最近のことで、でも内容はもう憶えていないの。 怖すぎるやつはすぐに頭がどこかに追いやってアワと消えてしまう。

ひどい土砂降りの晩、NYからイタリアのバレエ学校にやってきたSuzy (Jessica Harper)が経験するでろでろの悪夢みたいな本当のことみたいな - でも眠すぎてよくわかんないとか、あんたらよってたかって変だし怪しいし、いい加減にして、とか。

かっ切る、ぶっ刺す、ワイヤーがんじ絡めとか蛆虫ぼろぼろとか、あんま生理的に見たくない経験したくないのばっかりがやってきて、決して美しいとは言わないけど、やたらドラマチックに激流奔流となって襲ってきて情け容赦がない、その怒涛の誰も彼もの傷まみれっぷりに驚嘆させられるのと、悪魔だか魔女だかしらんが誰がそんなのを仕掛けてくるのか、というのもあるけど、それ以上に、とにかく恐怖というのはこんなふうに次から次へとどこかから湧いてきて溺れそうになる、これってなによ? みたいになってくるあたりもすごいねえ、だった。 あの圧倒的な赤が、なんであんなにも毒々しくやばく怖く見えてしまうのはなんでか? ってこと。

4Kで画面が細部まで鮮やかでゴージャスなのは言うまでもないのだが、音が爆音でもなんでもないのにふつうにぐわんぐわんに耳に刺さってくるので、これも逃げようがない拷問みたいななんかだねえ、て痺れた。

上映後のQ&Aはいろんな話が出ておもしろかった。
Goblinの音については、ギリシャのブズーキの音をなんとしても入れたかったので、そこだけは(Goblinに)明確に指示をした、とか。
強くて負けずに戦う女性が好き - John Fordの映画に出てくる女性とか - なのでSuzyはそのイメージである、とか - イタリアによくいるマンマには勝てない男のタイプ、よね。
あとは、R.W. Fassbinderとの交流のこととか。 Londonでよく一緒に遊んでいたんだって。

血まみれのオルゴール人形のあの有名なビジュアルはあなたが考えたものですか? という質問に、あれは映画会社が勝手に持ってきたもので一切関係ない、だいいち、あの赤は自分の赤ではないじゃろ、と力強く断言したところで、場内は一瞬静まって、その後すごいー!ってみんな拍手した。先生のサイン入りポスターがもらえるBest Questionに選ばれたのはこれでした。

来年のリメイクのもちょこちょこ相談を受けているって。

これの前日 - 13日にBFIの"Tears and Laughter: Women in Japanese Melodrama"ていう特集で、『青空娘』 (1957)を見た。
35mm版の上映。 英語題は"The Blue Sky Maiden"。
ぜんぜん違うけど、若い娘がひとりで出てきて意地悪で容赦ない責め苦に曝される、ていう点では似てるかも。 こっちは赤じゃなくて青だけど。

日本のTVも雑誌も新聞も、ほぼなーんも見なくなっている(見る気にもならねえや)ので、なんだかとっても新鮮で懐かしいかんじがした。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。