6日の月曜日の晩、Piccadillyのシネコンで見ました。
Kenneth Branagh監督・主演によるアガサ・クリスティーのミステリー。原作は小学生の頃に読んだけど、これっぽっちも憶えていないわ。
英国では宣伝がなかなかすごくて、公開後も映画館ではこの映画とどういう関係があるのかわからないのだが関係しているらしいロレアルのメイクアップ製品のCMがずっと流れている。
ポアロというと子供の頃に見た - 78年の"Death on the Nile" - 『ナイル殺人事件』 - のPeter Ustinovのイメージが強くて、それと比べるとこのKenneth Branaghてナルってるし、かっこよすぎるんじゃないか、て少し思った。ここはGary Oldmanのジョージ・スマイリーに感じた違和とおなじで、要はでっぷり太って哀れをさそうかんじのおっさんが刃物のように明晰な推理をかますところがかっこよいんじゃんと思うのだが、でもそこは個人の好み、ということなのか。
オールスターキャストが豪華列車に連なってて、隅々までものすごいお金かけてて、こういうの失敗しがちよね、と思ったのだが、なんか悪くなかった。
冒頭のイスタンブールでのエピソードから、銭湯みたいにスケールでっかい画面どーん、とごちゃごちゃした密室との対比とか切り替わりとか列車内の人物の移動や動きがところどころ面白くて(大半はCGなんだろうけど)、大画面の映画を見ているかんじがとってもした。
Wes Andersonの列車もの - "The Darjeeling Limited" (2007)とか"The Grand Budapest Hotel" (2014)とか - にあった走り続ける列車の細長い管のなかではどんなことだって起こりうる、ていうあのノンストップでがたがた動いていく感覚 - 自分も列車に乗っているかのような - がやってくる。 列車を撮ると割とそうなっちゃうのかもしれないけど。
ストーリーはいいよね。 いろんな乗客 - Judi DenchとかMichelle PfeifferとかDaisy Ridley とかPenélope CruzとかWillem Dafoeとか、みんなお金はありそうだけど癖も事情もありそうでなんかやっていたり知っていたりしそう - が乗り合わせた豪華列車内で、いちばんやくざで自分でも狙われているって言っていた男(Johnny Depp)が個室の寝台でわかりやすくめった刺しにされて殺されていた。列車は雪山で雪崩にあって立ち往生していて誰も逃げることはできないし、誰ひとり逃げる気配は見せない。 犯人はだあれ?
で、名探偵ポアロはひとりひとりに聞き取りをしていって、その過程でいろいろ明らかになったりきな臭くなっていくところはあるものの、でも最後にじゃじゃーん、と驚きの、驚異のどんでんとか慟哭の修羅場とか、そういうのが現れるわけではないので、そこはそういうドラマ、として見たほうがよくて、でもだからといってつまんないかというと、まったくそういうところはない。 最後に乗客全員を最後の晩餐のように横にずらーっと並べて(列車の縦一本の流れが横並びに転換・展開されるおもしろさ)推理を述べるところはわかっていてもぞくぞくくるし。
あと、とにかく俳優さんたちが全員じゅうぶん巧すぎるくらい巧くて隙も破綻もなくて、それが故に、というのもあるかも。 このストーリーの場合は特に。
とにかくでっかい画面ででっかい音で見るのがおすすめよ。
ちょっとだけ観光した気分にもなれる。 たぶん。
11.17.2017
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