11.13.2017

[film] Sea Sorrow (2017)

また少し戻る。
10月30日の月曜日の夕方、BFIで見ました。 これ一回きりの上映で、上映後に監督のVanessa RedgraveさんのQ&Aつき。

どうでもよい話しなのだが、28日の土曜日に”Blade Runner 2049”を見て、ここに出てくるHarrison Fordが翌29日の”Joan Didion: The Center will not Hold”に出ているのを見て、更にここ(Broadway舞台版の"The Year of Magical Thinking")に出てくるVanessa Redgraveさんが、翌30日のこれの監督であるという、なんか日々繋がって面白かった、ていうただの偶然、があった。 それだけ。

60年代からアクティビストとしての活動もしてきているVanessa Redgraveさんが最近の欧州の難民問題 - 特に子供の難民問題について取りあげたドキュメンタリーで、英国への受入窓口として設営されたフランスのCalaisの惨状とか、そこに命からがら逃げてくるまでの、難民ひとりひとりの苦労とかキャンプで過ごす日々とか、英国内のデモでのスピーチ(Emma Thompson, etc.)、などなどをインタビュー、ニュース映像などを繋ぎながら綴る。 更にはなぜ彼女(たち)がこの問題を取り上げ、解決しなければならないのか、という観点から、監督である彼女自身が先の大戦時に国内で難民孤児状態に置かれたこと、同様にヨーロッパ - 特に東欧やドイツで子供の頃、家族から切り離されて辛い思いをした人々の記憶が重ねられ、最後にはシェイクスピアの「テンペスト」からプロスペロ—が娘ミランダにミラノから追放されて孤島に流された際の辛い漂流(Sea Sorrow)を回想するくだりをRalph Fiennesのプロスペローに演じさせて、つまり、ヨーロッパの民である我々はこの問題を原体験のような形で共有、共感できるはずだし、解決することができるのではないか、という。

まず、こういうことは知らないよりは(きちんとソースは確認した上で、だけど)知っていたほうがよいのだし、80歳になって初めてカメラをとってこの問題を伝えねばと思ったVanessa Redgraveさん - 壇上でスニーカーがかわいかった - の切迫感と熱意はきちんと受けとめたい。 形式的にはドキュメンタリーと呼べるほど整ったものではなくて、とりあえず手元にある素材、手に入る素材、手伝ってくれるひとを可能な限り使って束ねたエッセイのようなものになっているが、それでも見てよかった、と思った。

Calaisの難民キャンプは昨年10月に閉鎖されてしまったのだが、それでも行き場を失った難民はそこのジャングルで未だにホームレス状態のまま暮らしていて、なんとかしなければ、というのは先のBilly Braggさんのライブでも触れられていた。なんとかしたいな。

という映画の後のQ&Aには、Vanessa Redgraveさんの他に、映画にも出てきた政治家のLord Alf Dubsも参加したのだが、政治討論会どまんなか、のような内容になってしまった。 つまり、いま市民の我々にすぐできることは何か(→ 電話でもFaxでも)、とか、国や組織はどう動くべきなのかとか、そういうこと。 あと、この映画に対する米国の反応はどうか? とか - NYFFでも上映されたようなのだが、反応は微妙だったと。 
討論は時間切れで終わってしまったが、最後に客席の誰かが言った、「例えば自分の子供がそういう状態に置かれていたらどういう行動を取るか考えてみよう」 - そういう問題なのだと思った。

日本ではこの問題、あまり報じられていないよね。 昔からそういうとこあるけど、自分達さえ面白おかしければ、自分達の子供さえよければ、それでいい - 世界でなにが起こっていても関係ない - みたいなメディアのありよう、心の底からクソだとおもう。 こんな壁好きの連中が日本人すごいって言いつつヘイトや排外を垂れ流しているんだからしみじみ吐き気がする。 なにが「存在感」だよ。

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