11.15.2017

[film] Don't Break Down: A Film About Jawbreaker (2017)

3日、金曜日の晩、Hackneyていうとこにあるシネコンで見ました。

9月からDoc'n Roll Film Festivalていう、音楽ドキュメンタリーを中心とした映画祭がLondonのいくつかの映画館でてんてんと行われていて、ミュージシャンにフォーカスしたものだけでなく、場所とかムーブメントとかを取り上げたもの、いろいろあって、Richard Thompsonの、Tangerine Dreamの、Conny Plankの、Bill Frisellの、見たいのはいっぱいあったのだが、いまのとこ、この1本を除いてぜんめつ状態。

http://www.docnrollfestival.com/

会場のあるHackneyは地下鉄ではなくて地上の電車で行くようなとこで、こないだのLFFのときに到達できなくて見逃してしまった怨念の地でもあるのだが、仕事の飲み会を途中で抜けてなんとかたどり着くことができた。

こないだ再結成ライブをした(ライブ映像見てない)JawbreakerのドキュメンタリーのUKプレミア。
こんな遠くの場所で21時開始なので満席にはなっていなかった。
オープニングの挨拶で主催者側のひとが、Jawbreakerの歌詞のユニークさに触れようと"Boxcar"の"My enemies are all too familiar 〜"のくだりを言おうとして上手く言えなくなってファンの子に助けてもらう、という微笑ましい場面があった。

最初のほうでBilly Joe Armstrongが当然のような顔して「JawbreakerはNirvanaとGreen Dayの間のMissing Linkだ」みたいなことをいうのでなんだよこいつ、とか思う(なんでいらっとしたのか考えてみよう)のだがそれはそれ。

映画はバンドの結成からの歴史振り返りをメンバー、関係者やファンのコメントと共に紹介していくところと、解散以来久々に3人がスタジオに集まってこの映画のためと思われるインタビューをしながら、はじめは堅かったBlake氏の表情がだんだんに変わっていって、「しょーがねえなーやらせだろこれ」という顔をしつつも楽器を手にしてがしゃがしゃ始めるところまで、の2トラック構成。

コメントを寄せるのは先のBilly Joe Armstrongの他、Steve Albini、(評論本がおもしろかった)Jessica Hopper、That DogのAnna Waronker & Rachel Haden、などなど。 個人的にはThat Dogのふたりが仲良く並んでいるところが見れたから、それだけでこの映画は ◯ なの(..そこか)。

Jawbreakerが90年代、コマーシャルなところから離れた、とてもユニークな位置にあったバンドで、それ故にいまだに根強いファンを持っていることは十分にわかるのだが、そんなのは誰もが知っている当たり前の話であって、いちばん掘り下げて欲しかったのは、Blake Schwarzenbachのちょっとひねた、でもリリカルな詞が持つ世界観とか、この後のJets to Brazilにも繋がる独特のメロを生むソングライティングの秘密だったりするのだが、そこは本人も余り話さなかったのかしら。 例えば影響を与えた本とか詩とか、本棚にレコ棚を映してくれるだけでもよかったのになー。

でもファンへの愛に溢れた、贈り物感たっぷりのよいドキュメンタリーだった。 この後に本当にバンドが動きだしたことを知っているだけに明かりが灯るかんじ。

エンドロールでいろんなバンドがJawbreakerのカバーをやっていくのだが、ラストのJulien Bakerさんによる"Accident Prone"のピアノ弾き語りがとってもよいの。

上映後、監督とSkypeでのQ&Aがあったのだが、ちゃんと帰れるか心配だったので途中で抜けた。
でも、2018年はファンのみんなにとってとてもよい年になるはずだ、と断言していた。
なので来年いちねんはなんとか生き延びたいものだわ。

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