結構むかし、12月5日、土曜日の昼、渋谷で見ました。
「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」。 英語題は”White God”
13歳の女の子リリはママが長期間どっかに行ってしまうので、あまり仲のよくないパパ(離婚済、独り、食肉工場勤務)のところに預けられる。 彼女の友達は犬のハーゲンだけなのだが、パパは犬のことをよく思っていなくて、近所のひとに雑種犬は税金がかかると通報されたりしたので、ハーゲンを車で運んでいって捨ててしまう。
リリは張り紙して町を歩いて走って懸命にハーゲンを探すのだが見つからなくて、ハーゲンは当局の雑種駆除隊の網から逃げまくっているうちにホームレスに拾われて、ホームレスから更に闘犬ブローカーに売られてしまうの。 闘犬屋はハーゲンの牙を磨いて薬をうってビルドアップして闘犬に仕立て、ハーゲンは強くて凶暴な犬になってしまう(見ていてきついよう)のだが、やがてそこを逃げだして犬のシェルターを襲って雑種たちを解放し、人間たちに復讐を始めるの。 町はパニック大騒ぎになるのだが、リリはそれでもハーゲンがいるはず! って町中に出ていって。
トランペットを背負った自転車の女の子と犬、ていうだけでなんか絵になるな素敵だなー、ていうその詩情に期待していったのだが映画は途中から「猿の惑星」みたいに恨みで膨れあがった獣の群れが人を襲う系のおっかないのに変貌して、猿の惑星は特殊メイクだったけど、こっちはリアルな二百数十匹のわんわんで、犬に追っかけられるのがこわいという人はやめたほうがいいかも。
誰もいなくなった町中をひとり自転車で走るリリの背後からわんわんがざーっと集まって追走していくところはなんかよいの。 出演した犬たちはみんなシェルターから集められたらしいが、よく訓練したもんだねえ、とか。
昨年アンスティチュでみた「少年たち」(1999) も義父と仲悪い女の子が相棒のブル犬(キム)を勝手に闘犬に売られて激怒するお話しだったけど、ああいう闘犬の闇マーケットってヨーロッパにあるんだろうなー。 なんかかなしいなー。
あと、言うまでもなくこの映画で捨てられて寄せられる雑種犬たちははっきりと今のヨーロッパにおける難民の喩えでもある。 「機嫌の悪い父」「通報する隣人」「捕獲網をもった当局」そして「闇のマーケット」などなど。 でも彼らは雑種でも犬でもないから、ていうところもわかって敢えて出している。 さて、そうすると“White God”ていうのは?
そしてこの国はなんもしないで高見の見物しながら「うちの国は世界一」て自画自賛しているばかりで世界一みっともない。
あと、女の子と犬の風景、に対置されるのは、おじさんと猫、なんだろうなー、とか思った。
さて、ぜんぜん関係ない話ですが、年明けのNYを襲った衝撃のニュースといえば、80年代からNYの地下鉄広告を飾ってきた美容整形外科のDr.Zizmorが引退する、というやつである。 そもそもめちゃくちゃ胡散臭い広告だったので、引退と聞いても本当に引退なのか? そもそも開業していたのか? とか新たな疑惑が浮かんできてしまうのだが、あの広告がなくなってしまうのはかなしいよう。
こっちで例えるなら、東横線の車両から亀屋万年堂の広告が消えてしまうようなかんじ、だろうか。(ちがうか ...)
1.05.2016
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