お正月の2日は毎年そうであるように、映画初めでシネマヴェーラに行くしかない定めになっていて「映画史上の名作14」から2本見ました。
そしてほぼ満席。 TV死ぬほどつまんないし、世界のどこにも居場所ないもんねえ。
(ほんとうは元旦の深夜にTVでやってた”Silver Linings Playbook”を少しみたけど)
Sylvia Scarlett (1935) 「男装」
George CukorにKatharine HepburnにCary Grantなんだから、失敗作と言われていようがなんだろうが見ないわけにはいかない。
冒頭、マルセイユに暮らすSylvia (Katharine Hepburn)は母を亡くして、父が英国に行って母の遺したレースとかを売ってくるというので一緒に連れていって、と頼むのだが女は面倒なことになるからだめだ、と返されたので頭きて長髪をばっさり、Sylvesterていう名前の男の子になって父と一緒に海を渡る。 道中でJimmy (Cary Grant)ていう怪しげな男にひっかかってすっからかんになった父子は、もうひとりメイドのMaudieを加えてキャラバンのどさ回りをしていくの。
その過程で父とMaudieは仲良くなって、Sylviaは画家のMichael(Brian Aherne)にちょっと惹かれたりするのだが、「男の子」なのでどうすることもできなくて、とにかくいろんなことが起こる。
ストーリーの焦点があんまし定まらないのとか、Sylviaが女の子であることを明かすところがあっさりしすぎてて盛りあがらないとか、なかなかしょうもないのだが、ショートヘアのKatharine Hepburnと彼女が女装に変わったとこ(浜辺に脱ぎ捨ててあったのを盗っちゃう)がすんごくキュートでとってもよいし、最後にJimmyが吐き捨てるようにいう”It's a pig's world” て台詞で「んだんだ!」ってすべて救われるかんじがするの。
Scarlet Street (1945)
“Sylvia Scarlett”から”Scarlet Street”へしりとり。 (最後の”t”がちがうけど)
もう何回も見ているのだが見るたびに金縛りになって戦慄するやつ。
銀行の出納係として真面目に働くChris (Edward G. Robinson)は、勤続25年で会社から表彰された晩、道路で小競り合いする男女を見て女性のほうを助けてあげる。 彼女 - Kitty (Joan Bennett)は女優の卵とか(うそです)で話をいろいろ聞いてあげるとなんかかわいそうで、Chrisも自分を貧乏画家だ、みたいに軽く嘘ついて会うようになる。 Kittyの裏には実はJohnnyていうちんぴらがヒモみたいにくっついて金をせびっていて、Chrisにはがみがみやかましい妻がいて、あまり若い女性と接したことがなかったChrisは、そのままずるずる彼女の虜になって言われるままにアパート借りてあげたり、やがては会社のお金を着服するようになって、いろんなのが崩れ始める。
Kittyの部屋に持ち込まれたChrisの絵を金欲しさに露店に出してみたらそれが売れて評価されて画廊が札束もってやってくるのだが、Chrisの絵を無断で売ったとか言えないので、描いたのはKitty、ということになったり、こんなふうにいろんな嘘が重なって塗り固められてその上をChrisは転がり落ちていって、その成り行き、顛末、筋運びの機械のように精巧な進め方が生々しくて、加えて機械故の非情さときたら半端じゃない。 転落とか絶望とか、その描きかたはいろいろあると思うけど、慟哭も涙もほとんどなしで、ここまで人やエモを織りこんでしまうってなんて恐ろしい(Fritz Lang)、としか言いようがないの。
Joan Bennett、ほんとわるそうだしー、Edward G. Robinson、ほんとあわれだしー。
シネマライズが閉館なのかー。 新宿ミラノの時とかはべつにぜんぜんだったけど、ここはなー。
「ホテル・ニューハンプシャー」とか、ほぼゆいいつ、とっても甘酸っぱいなんかと映画館と映画が結びついているのよねー(遠い目)。
1.06.2016
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