12.23.2015

[film] Mustang (2015)

18日金曜日の午後、IFCで見ました。
平日の午後で、客はほぼ若い女性、初老の女性ばかりだった。
“Suffragette”と並ぶ強度をもつ今年最強の女子映画。 すばらしいったら。

IFCではスタジオジブリの全作品上映をやっているらしく、結構長いその予告が流れて、ぜんぶ繋げてみるとなんかすごいなあ、て思った。(火垂るの墓、とかもやるの)

監督はこれが長編デビュー作となるDeniz Gamze Ergüvenさんで、この作品はGolden Globesの外国語映画部門にフランス代表でノミネートされている。

トルコの黒海に面した小さな村に暮らす5人姉妹 - Sonay,  Selma, Ece, Nur, Laleがいて、学期の終りに男の子達と海辺で一緒になってはしゃいでいるのを隣人のおばさんに見られた、というだけで祖母に咎められる。 彼女たちに両親はなくて、彼女たちの面倒を見ているのは祖母と伯父で、どちらも(そして周囲の村人たちも)がちがちに嫁入り前の女子はかくあるべし、を当然のように思って強いていて、姉妹は当然のように反発し、監視の網をくぐって好き勝手にやろうとして、結果電話もPCも全部線を抜かれて取りあげられて、部屋には鍵をかけられて最後は鉄格子まで行って、それでも彼女たちは、という攻防が最初のほう。

やがて長女が結婚して出て行って(初夜のシーツに血痕がないというだけで病院に連行されて検査される、という世界)、次女もいなくなり、悲しいことも起こって、やがて四女のNurに初潮がくるとではさっそく結婚相手を(... )、という話になって、相手が迎えに来たところで、これまで全てを見てきた末娘のLaleとNurはぜったいいやだ、と家に立てこもって最後の抵抗と脱出作戦を試みる。 

美しくて仲良しの姉妹が周囲の理解を得られないまま、ある決意をもって消えてしまう『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』- “The Virgin Suicides” - を誰もが思い浮かべるのかもしれないが、あれとは違って、末っ子のLaleのまっすぐな目とその強さに行け! 突っ走れ! と思わず拳を握ってしまうのがこっち。

映画で描かれたような男尊男根社会がいまもトルコにあんなふうに残っているのかはわからないのだが、それらを告発するようなトーンはあまりなくて(いや、もちろんとっても憎くなるけど)(日本だってまだ同じようなかんじは残っているよね)、いかに姉妹は精一杯戦ったのか、彼女たちがみんな一緒に遊んでいるときの笑顔とかぜったい挫けない力強さとかがずっと残る。

5人姉妹のみんなは全員素人さんだというのもすごーい。

日本でもぜったい公開してほしい。

ちなみにJames FrancoさんのFavoriteでもある、と。

http://www.indiewire.com/article/james-francos-movie-column-why-mustang-is-the-best-film-of-the-year-20151119

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