14日の土曜日のごご、新宿で見ました。これは見とかないとね、と。
アーカイブ映像や関係者インタビューから成る映画監督Robert Altmanの人と作品を追ったドキュメンタリー。
Altmanは、2002年の暮れにFilm Forumで”Altman's 70s”ていう特集があって、そこで集中的に見て、はまったの。
映画の中味がおもしろくて(勿論おもしろいんだけどね)感動して夢中になった、というより、映画に出てくるひとも出来事も全員変でまともじゃないし、不気味だし理不尽だし、楽しいことはあまり起こらないくて、それなのに何故かあの世界に引きこまれる。あまりに異様なので変態なので引きこまれる、というより、あの世界とこちらは何かがどこかで繋がっている、それはいったい何なのか、どこなのか? と考えはじめて止まらなくなる、というかんじ。
少しだけ特異で変な時代、場所、状況でちょっと変なひと(たち)が変なひと(たち)と関わって重なってつるんで、なにかが動いたり起こったりして、ものすごく弾けたりハッピーになったりすることもないまま、「… ということでした」みたいにぽつりと終ってしまう。
群像劇、と呼んでしまえば簡単なのだが、もう少しいうと、ひとりひとりが自分は王様だ主人公だとふつうに思っていて、そう思っている連中が互いに互いを理解しないまま、理解できるなんて思っていない(なんでそうする必要がある?)まま、まるで勝手に自動に動いていくゾンビみたいに、うらうらぞろぞろ進んでいって、結果なにひとつ収束しないし解消しない。
これでいいのだ、てバカボンのパパはいう。 ほれ、こんなだ、ていう。
その無責任な男性中心主義は、狙ったもの、というより現世がこんなふうだから、ていう程度のこと。
神の目は存在しない。 あるいは、存在しない、というかたちである、かもしれない神のなにかを描く。
そして、こんなふうな類型や説明からも自由勝手にはみ出してくるひとつひとつのドラマ。
見てみるのが一番で、個々の映画が紹介されていくにつれて、とにかく見たくて見たくてたまらなくなる。
2010年の9月、Lincoln CenterのWalter Readeで、"FASTEN YOUR SEATBELTS! : 75 Years of 20th Century Fox”ていう特集があって、そこで"M*A*S*H" (1970)の40周年記念のNew Printが焼かれて、Elliott GouldとTom Skerrittがゲストで出てきてトークした。
そこでのQ&Aで「70年代はAltmanの映画に限らず、アメリカ映画全体がすばらしかったと思うが、それ以降の映画では、一体何が変わって何が違ってしまったのでしょうか?」という質問がでた。
それについてElliott Gouldはこんなことを言っていた。
「それは映画ビジネスの話にすぎない。映画作りは、つまるところタイムマネジメントとリソースの手配の問題で、そのやり方が変わったんだとおもう。でもアルトマンに関して言えば、彼の映画は時代に制約されない。彼の映画は常に現代のことを描いているんだ。今観た"M*A*S*H"は、現代のことを扱っているんだよ」
そして、Elliott GouldもTom Skerrittもあの映画からそのまま出てきたような佇まいだったの。
2004年に”Secret Honor” (1984) のリバイバルがあったとき、92yでQ&A with Robert Altmanがあって、そこで生Altmanを見たのだったが、そのときの映像が使われている気がした(黄色いジャケット)のだが、違うかしら。
そこでAltman先生が嘆いていた「最近はカメラがあればドキュメンタリーを撮れると思っている輩が大勢いる」 のケースにこのドキュメンタリーははまっているのかどうか。
でも映画は見たいなあ。 今ってどちらかというとファスビンダーやフラーの時代なのかもしれないけど、Altmanもおもしろいんだからー。
12.05.2015
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