12.03.2015

[film] Les Tontons flingueurs (1963)

13日の晩、アンスティチュのフレンチ・コメディ特集、『イタリアのある城で』のあとに見ました。
『ハジキを持ったおじさんたち』。 英語題は、“Monsieur Gangster”。
びっくりするくらいおもしろかったの。 フレンチタッチとしか言いようがない。

元やくざで今はかたぎのFernand (Lino Ventura)が幼馴染でまぶだちの”The Mexican”が国に戻ってきて、でも死の床にあると聞いて病院に行ってみるとほんとうにそのようで、彼のやばい闇ビジネスと勉強しないで遊び呆けている娘の面倒を見てくれと言われる。 いやいやもうその世界から足洗ったし、て帰ろうとするのだが、瀕死の”The Mexican”の周りに寄ってきた怪しげな連中を見たらこれはなんとかしないと、になって会計士と執事と娘Patriciaのいる彼の家に行ってみたら早速向こうは刺客を送りこんでくる。

Fernandのがっちりドスの効いた顔だち体つきからすると、友との約束を守ろうとする旧勢力やくざ vs 元気で容赦ない新勢力やくざの血みどろの抗争、になってもおかしくないのだが、ぜんぜんそっちの方には行かない。 留守を預かる会計士も執事も相当変な傷物おじさん達で、銃器マニアの若い鉄砲玉ふたりも助っ人に入るのだが、なんといっても激甘娘Patriciaとその彼 - 自称作曲家のナードみたいなの - のカップルが家のセンターで、わたしたち悪くないよね? て無邪気かつ堂々居座ってるもんだからシリアスな世界はがたがたとドミノで崩れていって、そうは言っても刺客は懲りずにわらわらやってくるので「ハジキを持ったおじさんたち」はうるせえんだよ蠅ども、て立ちあがらざるを得ないの。

Patriciaが勝手に開いたパーティで全員めちゃくちゃ強いお酒を飲んでぐでんぐでんになっていくとことか、楽しいったら。 臭みだらけで灰汁たっぷりのおじさんたちが、旧友との約束とか娘を守るためとかとう大義とは関係ないところで、たまんねえなこのかんじ、みたいに嬉々としてどんぱちをおっぱじめるの。

善玉でも悪玉でもない、むっつり揺るがないでっかいハムみたいな肩肉とか胸板とか、Lino Venturaの風貌と佇まいがとにかく圧倒的で、ドアの扉が開いた瞬間に相手を思いっきりぶんなぐるとことか、すごいったらない。
“The Army of Shadows” (1969) を見たくてたまらなくなった。

明日のアンスティチュのJudd Apatowのドキュメンタリー、行けなくなっちゃったのでものすごく頭きてダークになっている。 インフルエンザにでも罹ったろか。

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