6.27.2015

[film] Mes petites amoureuses (1974)

21日、日曜日の午後、アンスティチュの思春期特集で見ました。
『僕の小さな恋人たち』 - 英語題は“My Little Loves”。
ちなみに、題名の元になったランボーの詩は女の子へのうらうら恨み節。

なんか久々に見たかったの。 みんなもそう思ったにちがいなくて、珍しくいっぱい入っていた。

13歳のDaniel (Martin Loeb)は、田舎でおばあちゃんと暮らしていて、ちっちゃい仲間もいっぱいいてサーカスとか見世物とかで得体の知れない世界にどきどき近づきつつあって幸せだったのだが、ある日母親(いきなりIngrid Caven)がやってきて母の連れ男 - Joséと一緒に暮らすんだよ、と都会に連れ出される。

都会では人も多いし学校もあるしなんかあるかも、とわくわくしていたらアパートは3人で住むには狭いし、ママもJoséも疲れてて始終不機嫌だし、お金ないから学校には行かないで働け、て言われてバイクの修理屋で働きはじめてつまんなくてしょうがなくて、でもカフェで歳上の若者たちと出会って弄られたりいろんなことを教わったりする。

仲間と自転車で遠くの村に出かけてナンパするシーン、ナンパ師のあんちゃんとふたりでふたりの女の子を狙って仲間達からすーっと抜けたはいいもののどこからみても宙ぶらりんのいたたまれなさ、身動きとれずのどうしたものか感がたまんなくすばらしい。 結局前にも奥にも進みようのない凍りついたままの2時間(本人談)が過ぎ、あのおしゃまなくそガキ、とか、あれでよかったのかどうか、とか、もういっかいいけるのだろうか、とか本人にもわからない。 たぶん永遠に。

で、そういう修行を経てふたたびおばあちゃんのところに戻ってちびっこ仲間と再会するDaniel。 彼はなにか、どこか変わっただろうか、周りは変わったりしただろうか、自分は変わりたいのだろうか、変わらなければいけないのだろうか。

Danielの少し背をまるめて地点Aから地点Bに、更にその向こうに遠くに歩いていってしまうその歩きかたが素敵で、嫌悪も嗚咽も慟哭も叫びも殺意も、それらあらゆる戦争をその頭と胸に抱えこんだまますたすたどこかに行ってしまう、そのなんともいえない彷徨い感がたまらないの。

親も女の子もそこらのオトナたちもなんにも信じられないし期待しない、助けなんていらない、どうしたらいいのかわからんけど歩いとけ、みたいな。 歩くしかないよな。

そして久々に触れた(見た、というより触れた、浸った)気がしたNéstor Almendros のカメラの瑞々しさ。 これこれ、と。

こないだの「ピクニック」ものどかで平穏な風景をバックにしつつも頭のなかは戦争、の映画だったねえ。


それはそうと、アメリカ合衆国 おめでとう、合衆国に対してじゃない、あの国で愛するひとを本当に愛しているすべてのひとたちにおめでとう!! 
日曜日のGay Pride Marchは盛りあがるだろうなー。

それにひきかえこっちの国の腐れっぷりときたら… 

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