6.24.2015

[film] Berthe Morisot (2012)

20日、土曜日の昼、久々に恵比寿に出て、生まれかわったらしいガーデンシネマで見ました。
どこのどういう事情かしらんが、Morisotの評伝映画なんかやってる。

TV映画のようだが、Caroline Champetierさんの初監督作だというし、”Mr. Turner”よかきれいかと思ったの(登場人物は)。

彼女の生い立ちから晩年までを追う、というよりは姉のEdmaと一緒に絵を勉強しつつManetと出会った頃から、普仏戦争を経て1874年の第一回印象派展の頃まで、つまりなんで女性は絵を描いちゃいけないのよ? てぶつぶつ言いながら絵画に屋外の光を!て当時のパンク - 印象派をぶっぱなしたあたりまでの一番面白かった時代よ。
朝の連続TVドラマにだってなりそうなかんじ。

ブルジョアのおうちのBerthe Morisot (Marine Delterme)が姉のEdmaとサロン展に行ってなんて破廉恥な、とか騒がれていた”Olympia” (1863)を見てふうん、てなってから彼 - Manet (Malik Zidi)に絵を見てもらったり、”The Balcony” (1868-69) のモデルをしたりしながらだんだん偏屈なManetに惹かれていくのだが、彼には妻がいるし、親は結婚して家庭に入れってうるさいし、かつては姉妹で「ボヴァリー夫人」を朗読して抵抗したのに姉は突然裏切って結婚しやがるし、でも自分は絵を描きたいんだ、て気丈にめげずにがんばるの。

Morisotの絵を最初に纏めて見たのは、2008年、出張で行ったフランクフルト、にたまたま(じゃねえな)あったシルン美術館 (Schirn Kunsthalle)での展示 - “Impressionistinnen" (女性の印象派画家)ていうので、Morisotの他にMary Cassattとかも出ていて、こないだのStädel MuseumのMonet展でもMorisotのとても素敵な絵があって、そこにはManetが映画のなかで言っているような不思議な透明感、があるなあ、と思うものの、その魅力をうまく言うのはなんか難しい。Manetのとも師匠のCorotのとも違うし、なんなのか。 という問いに「女性だから」と言ってしまうのはなんかいけない気もするのだが、でもそうとしか言いようのないなにかがあるかも、と思ったり。

肝心のManetとの恋はあったのかなかったのかどうだったのか、の辺りはやはりてきとーにぼかされているのだが、ラスト、彼から送られてきた「すみれの花束」で彼女が泣き崩れるところはよかった。 (でもいきなりあのもこもこした絵だけ見せられても何だかわかんないよね)

フーコーがかつてManetについて「自分が絵を描いている空間の物質的な性質を用い、機能させることをあえて行った最初の画家」と語ったその革新性が、つんつんガンを飛ばしてくるモデルMorisotと画家との緊張関係、その空間の描写を通してなんかわかった気がして、更にそのへんはMorisot自身の絵画のありようにも伝播していったのではないか、とか。 映画とは関係ないそのあたりもちょっとうずうずした。

他にはManetのアトリエで彼女と衝突するEva Gonzares(この娘も画家)とか、Fantin-Latourとか、画商のPaul Durand-Ruelとか、あの時代のおもしろい人たちもいっぱい。よく見ればほかにも知ってる人はいっぱい出ていたはず。  Renoirなんかも出せばよかったのにー。

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