27日、フランス映画祭の2本目。
François Ozonの『彼は秘密の女ともだち』。
英語題は”The New Girlfriend”。原作は Ruth Rendellの小説(未読)。
Laura (Isild Le Besco)とClaire (Anaïs Demoustier)は幼馴染で固い絆で結ばれた親友同士で、映画は夫のDavid (Romain Duris)と乳呑み子のLucieを遺して逝ってしまったLauraの葬儀のシーンから始まる。
亡くなって暫くたった頃、DavidとLucieの様子が気になったClaireが彼らの家を訪ねてみるとDavidが女装して赤ん坊をあやしているのでびっくりする。 Lauraの服の香りでLucieが安心するから、とDavidは言い訳をするが、実は元々女装癖があってLauraもそれは知っていた、彼女が亡くなってその欲望が再燃したのだという。 Claireはそんなのありえない気持ちわるいと拒絶するのだが、Davidがあまりに超然と服がほしいからお買い物連れてって、とかせがんでくるので「彼女」を”Virginia”と名付けて一緒にモールに出かけたり食事したりするようになる。
Lauraの葬儀で、DavidとLucieのことはわたしが命がけで守るから、と誓ったClaireの使命感と保護者意識は、Virginiaの登場によって微妙に変化していって、やがてClaireの夫Gilles (Raphaël Personnaz)との関係にも影響を与えるようになり、それは週末、Virginiaと一緒にLauraの別荘にお泊まりに行ってから決定的なものとなって、やがて。
David/Virginiaにはゲイ志向もなければ性同一性障害のような自身の男性性に対する違和もない、ただ落ち着くし癒されるから女装する - そんな彼/彼女との出会いがClair自身をもいろんな形で変えていく、その過程がとても自然で、しかもおもしろいの。 Lauraとの契り、Lauraを介して出会ったDavid、Lauraの死のむこう側に現れたVirginia、そして自身の性 - Gillesとの関係、Virginiaとの関係…
同じような女装癖をテーマにしているようで『わたしはロランス』におけるLaurenceとFredの関係とはちょっとちがうの。 David/VirginiaとClaireの間にはLauraという二人にとってかけがえのない死者がいるの。
なんかねえ、ClaireとVirginiaが週末遊びにいったクラブで、ドラァグクイーンが口パクで荘厳に歌いあげるNicole Croisilleの”Une femme avec toi” - あなたの人生の女になれた喜びを歌う - この歌は最後のほうでもClaire自身がそうっと歌うのだが、なんだかとっても泣けてしまうので自分でもびっくりした。 幼い頃のふたりの誓いがこんなところまで転がっていってしまうんだ。
Ozonの映画で泣けるなんて、ていうのと、Romain Durisなんかに泣かされる日が来ようとは、ていうふたつの驚きがあって、でもちっとも悪くないのだった。 ラストもいいよねえ。
US版のTrailerが今日のIMDbに載ってた。 よいなー。(米国公開は9月だって)
6.29.2015
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