もうずいぶん前に思える7日の午後、アンスティチュ・フランセの『地中海映画祭 2013』、で見ました。 63年のイスラエル映画。こんなの、こういう企画でもないと見れないし。
見終わって、監督の名前がずっと引っかかっていてえーとえーと、て悩んで、このメナヘム・ゴランて80年代にヨーラム・グローバスと共にCannonフィルムを立ち上げ、スタローンやヴァンダムからゴダールの「リア王」、カサベテスの"Love Streams" (1984)までをプロデュースしたあのゴラン、かの"The Apple" (1980)を監督したゴラン…?、と思いあたって、うわあー、と。 2010年のLincoln Centerでこのひとのトークを聞いて、"The Apple"を見たときの衝撃はいまだに生々しいのだった。 (今年のカナザワ映画祭でやるべきだったよね。「スター・ファイター」やったのなら)
そのときに書いたやつはこのへん ↓
http://talkingunsound.blogspot.jp/2010/11/film-runaway-train-1985.html
http://talkingunsound.blogspot.jp/2010/11/film-apple-1980.html
で、これがかの"The Apple"を撮った(しつこい…)ゴランの監督デビュー作てある、と。
The Appleが上映された映画祭で客がどんどん途中で席を発っていくのを見て身投げしようと思ったというゴランがそのキャリアの最初に作った作品である、と。
裁判で立件されずに釈放され、地元のヤッファに戻ってきて真っ当に生きようとするベニーと、裁判を通じて彼と仲良くなった弁護士でいいとこのお嬢さんと、ヤッファでずっと彼を待っていた娼婦さんと、戻って来た彼を利用して再び儲けようとする地元のワルと、そこに絡んでくる警察と。
夜の闇と昼の光、上流階級と下層階級、都会テル・アヴィヴとさびれた海辺の町、海のむこう側とこちら側、昔の女と今の女、これら複数の線を交錯させつつムショ帰りの一匹狼ベニーの明日はどっちだ、をフィルム・ノワールふうに描いて、なかなかかっこよかった。
終始ぱんぱん鳴り続けるスネアの音とラスト、闇のなかの捕物を海の向こうからざーっと捉えるところの緊張感とか。
人物の行動とかいろんなのをとりあえず水と油として分別してしまう解りやすさが抱えこんでしまうB級感は、ここから20年後のCannonにもひょっとして引き継がれたのかもしれないが、マーケット的にいけそうなかんじがしないとこも同様で、このおじさんの映画は、この時点からやはりぜんぜん嫌いになれないことがわかった。
9.22.2013
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