3.20.2024

[film] Copa 71 (2023)

3月11日、月曜日の晩、Curzon Bloomsburyのドキュメンタリー専門のDocHouseで見ました。

1971年メキシコで、前年に同国で行われたサッカーワールドカップの後に、女性によるサッカーのワールドカップが行われていた、と。その後の歴史から意図的に、完全に抹消されていたそのイベントがどんなふうだったかを50年ぶりに発掘されたアーカイブ映像と関係者へのインタビューと共に明らかにする。

あんま関係ないけど、英国に駐在すると、誰もが一回くらいはサッカー場に行くものらしいが、実はまだ行っていない(NYにいた時は、野球もNBAもUSオープンも一応行った) 。(めったに行かないけど)パブとかに行くと必ずどこのチームのファンか、などの話題がでて、その度に「アーセナル」とか「チェルシー」とか極めててきとーに返してきたのだが、(選手名とかになるとわかんないので)きつくなってきた気がする。別に何返したって誰も聞いてやしないのだが。

最初に90年代の女性サッカーワールドカップが公式イベントになって、そのチャンピオンになったUSサッカーチームの女性に70年代に女性サッカーのワールドカップがあったことをご存知ですか? と尋ねてタブレットでその映像を見せると、わーおこんなの知らなかった! ってびっくりする。(本当に知らなかったのかな?)

そこから女性サッカーの簡単な成り立ちとか歴史 - イギリスでは男性サッカーの盛りあがりと共に女性サッカーも立ちあがるのだが、女性については医学的見地からこのスポーツはよくない、と禁止された時期もあったりしながら、でもやっぱり、と細々とサッカー協会のようなものが組織されて70年にイタリアでFIFAが関与しないインディペンデントな形で第一回が実施され、71年、ワールドカップ後の熱がまだ冷めていないメキシコで代理店が第二回をやろう、とぶちあげて、FIFAの手が及ばないスタジアム(でもでっかい)で実施してみると予選の段階からものすごい熱と共に動員数もあがっていった。

というのと並行して、当時の各国の代表選手たちが初めて飛行機に乗ったりしながら未知の国メキシコに向かい、現地でのスター扱いにびっくりしたりしながら試合を進めていって、最後の決勝戦は、とてつもない動員 – いまだに女子のスポーツイベントの動員記録になっているそう – となって、見ると確かにとんでもない盛りあがり、ではある。

いまは高齢になっている各国の選手たちと一緒に見ていくそれぞれの試合の中味もスリリングでおもしろくて、それは映画を見て貰いたいのだが、問題は彼女たちが帰国後、FIFAのお触れだかなんだかで一切の風が止まって、女性サッカーが規模の大きなイベントとして開催されることはなくなり、振り返られることすらなくなり、歴史から消されてしまったこと。これは今の地点から見たらはっきりと差別としか言いようのないアレで、それを指示した当時の関係者を呼び出してもっと怒ったり罰したりしてよいくらい酷いことだと思った。ほんとFIFAでもIOCでも、スポーツ関係を仕切るあの黒服のじじい達、ただの利権団体のくせに偉そうにやりたい放題やりやがって、ほんと吐気しかないわ。あのスタジアムの熱気と興奮が連中にとっての恐怖・脅威になったのだとしたら、ちょっと痛快でざまあみろ、だけど。

当時の選手だった女性たちの、あそこで試合できて本当によかった楽しかった! という笑顔を見るだけでもよいの。この反対側に、そういうのが我慢ならなかった男たち、っていうのがいて、今も間違いなくそこらに。

Geena DavisやMadonnaが出ていた野球映画 - ”A League of Their Own” (1992) - 邦題は嫌いなので書かない – は、Tom Hanksがうざくてそんなに好きでもないのだが、エンディングで、Madonnaの曲に乗ってモデルになった女性たちが心底楽しそうにプレイしている姿を見るたびにじーんとなってしまう、あのかんじがくるの。

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