3.10.2024

[art] March 03 - Madrid

3月3日の日曜日、日帰りでマドリードに行ってきました。

パリと同じようにここの日帰りは前の駐在の時にもやっていて、当初はパリのMarmottan MonetのMorisot展に行きたかったのだが、マドリードの方でもこの週末で終わってしまう展示があり、飛行機で往復£80くらい(パリだとどうしても£100超える)のがあったのでこっちにした。朝6:30ヒースロー発の便だとバス&地下鉄で午前3時にアパートをでないとならないのだが、しょうがないー。

なんでマドリードかというと、街の真ん中の歩いていける距離に大きめの美術館が3つあって、丸一日美術につかっていることができるから。その分、食べ物とか他の市内観光は諦め、になるのだが。 ヨーロッパで他にこれができる街となると、ベルリン、フランクフルト、ウィーンくらいかなあ。あと、絵を一枚一枚じっくり見たい人には向かないねえ(宮川淳 vs. 吉田喜重)。

空港からバスで美術館の前まできて11時少し前。

Museo Nacional del Prado

Reversos - On the Reverse

3月3日が最終日で、これを見るのが目的だった。
絵画作品は画布上に描かれた二次元のアートで、ふつうはその「表」に描かれた絵とかイメージを見ていく訳だが、その実体 - 物理的な - はカンバスとか紙とかまず物理的なモノとして存在するものであり、芸術家にとっては商品でもあったり、なので人目に晒されない裏側がそもそもある。絶対ある。その裏側に意図的に別のなにかを描いたり、メッセージを記したり、落書きしたり、シールが貼られていたり、そういう絵画の裏面に着目してみよう、という展示。

レコードのB面? というのが分かりやすい説明だと思うし肩の力抜いて好きにやってるB面におもしろいのがあるのも周知のことだと思うが、それより遥かに自由に好き勝手なことをやってきているなあ、って。

画布に向かう自分を描いたレンブラントから、「裏が表である」っていう正攻法の(いつもの)マグリットから、表に聖母さま、裏でそのケツを描いていたり(鏡で両方見ることができる)、表の絵とはまったく関係ない花鳥画とかアブストラクトな落書きみたいのを描いていたり、自画像の表と裏のタッチがぜんぜん違っていたり、どれもものすごく自由で勝手で、まあそうあっても当然。

絵画の両面を見せている作品が多いので、展示スペースは限られたりしてしまう(1フロアのみ)のだが、画家は表面だけに向かって仕事していたわけではなく - もちろんそうでないまっとうな人も沢山いたのだろうが - 教科書を落書きまみれにしてしまうであろうこんなタイプ - その他いろいろ - もいたのだなー、と。

そうして因数分解していくと最後は素材のようなところまでいってしまうわけだが、当然そこに切り込んでいくアーティストだっていたり。しみじみ奥が深いこと。

この後は、小企画でやっていたEduardo Rosales (1836-1873)を見て、常設を見ていくわけだが、ここの「常設」ときたらルーヴルか、場合によってはそれ以上くらいによく充実していて、ボッシュにラファエロにフラ・アンジェリコにベルメホに、2階ではベラスケスにルーベンスにたっぷりのゴヤに、ゴヤは(階段だとしんどい)3階にも「猫のけんか」とか見逃せないのがあるし、歩きだしたら止まらなくなって時間を忘れる。

あと、以前は確かOKだった絵画の撮影がNGになっていた。ここみたいに有名なのが多いところだと名画と一緒に自撮りをする人たちが多くて(← なにが楽しいのかまったくわからず)うざかったのでよいことかも。


Thyssen-Bornemisza Museo Nacional

ここの常設も古典から近代までよいのが結構揃っていて、企画展がなくても楽しいの。 クールベの漁師の子供とか、ムンクの鵞鳥とか、ボナールの女性の肖像とか。

1階に纏められたCarmen Thyssen Collectionに自分の好きなのが固まっていることを発見した。

Isabel Quintanilla's intimate realism

まだ始まったばかりの企画展で、いっぱい人が入っていた。 Isabel Quintanilla (1938-2017) はスペインのリアリズム系の画家で、なんかどこかAntonio Lópezに似ているとこあるかも、と思ったらドローイングのなかに夫Francisco López - 彼は彫刻家 - のモデルになっているAntonio López、というのが出てきたり。この3人は50年代からずっと知り合いなのだそう。(FranciscoとAntonioは兄弟なのかと思ったが違うみたい)

彼女と同時代の女性画家たち、というのも少し紹介されていて、この静かなリアリズムの傾向ってなんなのか、とか。

台所とか部屋の隅を見渡す冷たく不動の様子はハマスホイを思わせるところもあるが、あれほど凍結されたふうでもなく、いちじくとか鰯とか、食べものの柔らかく少しぬるいかんじもたまんなくて。

ここまでで15時くらいで、
Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofíaに向かって歩いていったら人がいなくて閉まっていたので全身の毛がさかだった。日曜日は14:30までだなんて…

ああやっぱり日曜じゃなくて土曜日 - Dune 2なんか見ていないで - にくるんだった…. しょんぼり。

気を取り直して古本屋もあるSan Fernando Marketに行ってみたら入場制限しているくらい中でみんなわいわい酔っぱらって飲み食いしていて、これは無理だわと、もういっこのMercado de San Miguelの方に行って、こっちはまだ隙間があったのでパエーリャとかチーズとか少しだらだらやけ食いして、空港に向かったの。ちぇ。

アパートに戻ったのはほぼ23時だった。

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