5.04.2023

[film] The Super Mario Bros. Movie (2023)

4月28日、金曜日の晩、109シネマズ二子玉川のIMAXレーザーで見ました。
Illuminationのアニメーションなら見たいし、ゲームものだと好きだった”Wreck-It Ralph” (2012)みたいなかんじもするし、批評家の評判は散々でも興行的には成功している、その辺も含めて。

任天堂のゲームについては、ファミリーコンピュータもゲームボーイも、家庭用のゲーム機器というのに触ったことがなくて(見たことはあるかも)、そんな奴が軽々しくレビューするんじゃねえ、っていう子供らの声もネットにはあるらしいのだが、そんな奴が見ても楽しめるものなのだろうか - 楽しめるんだろうな、ポケモンの映画がそうだったし、くらいで。 数年前の実写版のは見ていない。

MarioとLuigiは別々のキャラクター - だからブラザーズなんだ! - っていうのも映画が始まってから知ったくらい(ひどい)。

冒頭、とっても悪くて強そうなBowser (Jack Black)が侵略を仕掛けるべくぶいぶい空中に出現して、それを迎え撃つべくペンギン軍団みたいのが来るなら来い! って待ち構えてて、そのペンギンたちがあまりにかわいいのでそれだけでいいや、になる。

Mario (Chris Pratt)とLuigi (Charlie Day)の兄弟はブルックリンのイタリア系移民の家族で、Plumber - 配管修理の会社を立ちあげて、こてこてのTV CMとかも作って意気揚々なのだが、実際の仕事はさっぱり - 別の穴あけたり広げて壊しての事故起こしてばかり - だからアメリカでPlumber businessって大事 - で、そういう修理のどこかでできたのだか元からあったのかものすごい大穴に引き摺りこまれて異次元に連れ去られ、途中で兄弟離れ離れになって、LuigiはBowserのところに囚われて絶対絶命になるの。そこに同様に囚われてカゴに入れられたメルヘンぽくデスでネガティブなことを呟き続ける青い星の子みたいの - Lumaleeっていうのか - がとっても素敵。

Marioの方はマッシュルーム頭のToad (Keegan-Michael Key) - 日本だとキノピオ? - どっちもなんで? - と出会って、彼にPrincess Peach (Anya Taylor-Joy)のところに連れていかれ、それは大変! 一緒に戦いましょう! になるのだが、その世界で戦う術 - 所謂ゲームテクのような - というのがなかったので、まず飛び越えたりすり抜けたりかわしたり、といった技とスピードを身につけて、仲間をつくらねば、ってお猿の国に行ってCranky Kong (Fred Armisen)とその息子のDonkey Kong (Seth Rogen)に加勢を依頼して、でも連中も簡単には合意してくれないので勝負して負かしたらな、って。

技を習得して仲間をつくって増やして、一緒に戦えば道は開けて怖いものなんてないし、悪い奴にも勝てるし。というのがゲームに勝ってみんなにやったぞ! & やったね! ってなるための鉄則というか暗黙の了解で、その流れに沿っていろんなキャラクターとかいろんなワザが出てきて、それらは豪華な花火とか電飾を見ているようで楽しいし、ゲームをプレイしたことがある人にとっては、それが掟というものなのだそんなの知っとけ薄らとんかち野郎ども! ってなるのだろう。

それは勝ち負けをその結果として求めるスポーツと同じで、この場合は小さい頃からゲーム機に向き合って泣いたりがんばったりした鍛錬の記憶が主人公であるMarioの視点と共に(おそらく)併走してくれるので、こんなに包んでくれて馴染めてなんも考えず没入して楽しむことができるなんて! になるのだと思うし、そういうふうにして楽しめるように作ってあるのだろう。その感覚はゲームに触ったことがない、熱狂したことがない自分にもなんとなくわかる。

でもその反対側で、なんも考えずに楽しむことができる - その「なんも考えずに」ゲームの世界に没入することができていたその状態とか、その状態が持続していたことの異様さ不自然さ、についても今は考えないわけにはいかない。それは自分が年を取ってそういうことへの集中力が続かなくなったなどもあるのだろうが、やっぱりこれだけ現実の差別や虐待や不正が横行しているなかで、ヒーローだの退治だのもう無理、になってきた - これは自分だけかもしれないし、それでぜんぜんよいけど。それは丁度Illuminationの”Despicable Me”のシリーズが「悪」、「悪者」について考えさせてくれたのと少し似ているかも。

出てくるキャラクターが悪者ですら丸っこくてカラフルでかわいく動きもスムーズで、ストーリーもきちんとパッケージされてまとまりがよくて、そうであればあるほどなんだか気になるとこが出てきて、そういう点ではよい作品なのかも。

あと、音楽は楽しいねえ。 80年代のがなんであんなになじんでしまうのか、とか。

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