5.24.2023

[film] Memory (2022)

5月18日、木曜日の晩、109シネマズ二子玉川で見ました。なんとなくー。

監督は”Casino Royale” (2006)など、英国(生まれはニュージーランド)のMartin Campbell。 2003年のベルギー映画 - “De zaak Alzheimer” – 邦題『ザ・ヒットマン』(未見)のリメイクだそう。B級アクションとしてそんなに悪くなかった。

冒頭、テキサスのエルパソで子供の人身売買組織を追うFBIのVincent (Guy Pearce)とメキシコから派遣されているHugo (Harold Torres)のチームがおとり捜査に失敗して、被害者の少女Beatriz (Mia Sanchez)は保護できたものの証人として捕まえるはずだった彼女の父親を殺してしまう。

メキシコの殺し屋Alex Lewis (Liam Neeson)は看護師を装って病室に隠れて、そこに見舞いにきた男をあっという間に殺したり、手口は冷酷で鮮やかなのだが、上のMauricio (Lee Boardman)から、エルパソで仕事があるから行ってくれ、と言われる。お前が生まれ育ったところだろ、と。

Alexは初期のアルツハイマー型認知症で薬を常用して忘れていけないことは腕にペンで直接書きこんだりしている。エルパソに着いてから施設にいる兄を見舞うと、彼も同じ認知症のようでほとんど動けない状態になっていて、自分もやがては、って…

Alexに依頼された複数の殺しのうち最初のは簡単に実行できたものの、ふたりめのターゲットはVincentのチームが保護施設から引き取ってケアしていたBeatrizで、Alexは驚いて銃を下して、おれは子供は殺さない、なんだあれは? って上に文句を言ってから押収したUSBなどで背景などを調べて、自分の仕事が人身売買の証拠人殺しであることを知ると、その背後にいた連中を勝手に追い始めて、でも敵のほうも(そもそも消そうとしていた)Beatrizや通りすがりの無関係な女性を殺したりしたので、ブチ切れたAlexは組織の指令から離れて連中を殺し始める。

FBIとして人身売買の件を追いつつ、それに関連して追っていた連中が端からプロの手口で殺されていくのを目の当たりにしたVincentたちはどこからの圧力なのか納得できないままチームを解散させられたところでAlexにぶつかって、彼も自分たちと同様に敵を憎んでいることがわかるのだが、最後の大物としてメディアを牛耳る慈善家のDavana Sealman (Monica Bellucci)の手前まできて…

記憶の喪失に怯えながら、でも怒りだけを糧に殺し屋としての腕だけは記憶と関係なく動いてしまうらしい孤独な老人と、捜査へのパスを潰されたその脇を抜けて自分たちに代わって悪い連中を捌いてくれる老人の登場にうろたえる半端な中年たちがぶつかって、でも一緒に戦うようなことにはならなくて、最後も殺し屋Alexの生涯、のような話として終わらないところがよいの。

映画としてはテーマも含めてもう少しノワールの暗さと闇があった方が締まったと思うし、”Memory”の効かせ方があんな程度か(記憶を失っていく恐怖を際立たせてほしかったのに)、というのはあるけど、だんだんぼろぼろになって、でも誰にも何の助けも求めずにただ孤立していく老人Liam Neesonはなんかよかった。

あと、先日亡くなられたRay Stevensonさんが、敵方のやーなかんじの刑事役で出ていて、あの圧が吹いてくるような佇まいとか彼ならではだと思うので、追悼で見てあげて。


The Mother (2023)

5月14日、日曜日の晩、Netflixで見ました。 監督はNiki Caro。

元特殊工作員のJennifer Lopezが軍の仕事をしていた時に人身売買の証拠を掴んでしまい、通報して抜けようとしたら、悪い軍人のGael García BernalとかJoseph Fiennesに狙われて一部隊まるごと襲われてしまったので、生まれた娘も里親に預けてひとりアラスカの原野に身を隠して12年、娘Zoe (Lucy Paez)の身元がばれて敵がやってくることがわかったとき、母はFBIのCruise (Omari Hardwick)の助けを借りてZoe - はじめはJLoが本当の母親であることを知らない - を連れて逃げて、やがてCruiseもやられるとふたりで山小屋に籠って、母はZoeに銃や武器の扱いやサバイバルのしかたも教えて、そのうち雪山での対決の時がくるの。

途中でどこかにいなくなってしまうGael García Bernalとか、Zoeの父親は誰なのかとか、全体の構成はえらくがさつで中途半端で、JLoさまのシャープな殺戮の舞い(としか言いようがない)が見れるのだけがよくて、母娘モノとしてもなんか、おかあちゃん! てなる瞬間がなくて、残念だったかも。あの白オオカミ親子とかももっと使ってあげればよかったのに。

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