5月11日木曜日の晩、K’sシネマで見ました。
邦題は『ナイトクラビング:マクシズ・カンザス・シティ』。Danny Garciaの作、監督、製作によるドキュメンタリー。
Max's Kansas City (1965-1981)はマンハッタンにあったライブヴェニュー&食堂で、もうとうになくなってしまったその住所は213 Park Avenue South - Union Squareの北東、ChelseaからもGramercyからも歩いていけるし、地下鉄でアップタウンにもダウンタウンにも行きやすいし、今も昔もレストランやバーが並んでいる界隈 - Anthony BourdainのいたBrasserie Les Hallesもこの辺りにあった。
そういう地の利もあってか若者も年寄りも寄って来やすいとこにお金のない若者たちがタダ飯狙いで溜まるようになったついでに上の階のスペースでどかすかやるようになり、それを面白がったAndy Warhol一派が立ち寄ったりするようになるとそこから先は雪だるま式で、Studio54ばりのセレブ(観光)スポット化して、この場所の名前を冠した「伝説の」ライブ盤もいっぱい出ているし、かっこよい写真もいっぱい残っているし。
というわけでここにたむろしたり演奏したりしていたミュージシャンたち - Jayne County(猫かわいいねえ)とか、Alice Cooperとか、Billy Idolとかの演奏シーンを含む語りと、ブッキングや運営をしていたスタッフによる思い出 - あんな人がきた、こんなこともあった、などが流しそうめん式で。もうひとつの「伝説」小屋 - CBGBとはやっぱり少し傾向が異なって、こっちの方がよりグラマラスというか見せ物小屋とかよりショービズぽい性格がみえてきたりする。
原題にもあるパンクの起源はだれ? とかどこ? について、個人的にはもうどうでもよくなっていて - ドキュメンタリーであれば、Don Lettsのいくつかのが一番きちんと追えて網羅していると思う - だって、そんなの掘ったり探ったり元祖決めたりとかいちばんパンクから遠いあれ(アティチュードとかいうの?)じゃない? なんであんな先のないどん詰まりの生ごみみたいに腐って干からびていかれてやかましい音楽が海を越えて大陸またいで感染拡大して、いまだにドブネズミやゴキブリみたいにサバイブして若者や年寄りを救ったり殺したり、世間的には鼻つまみ状態なまま、ずーっと耳もとで鳴り続けたりしているのか、そっちのほうだよね - あーこれもまたどうでもよいしクールじゃないか。
それでもなんでこの手のドキュメンタリーが相変わらず出てくるかと言えば、やっぱり最初の頃に変なことを始めた連中の、ちっとも狙っていなかったが故の胡散臭さとか慌てようが見事に晒されてておもしろいから、それだけ、ではないのか。 果たしてそれが始まるのは場所なのかバンド(の音)なのか、パンクに関してはなによりもまず、個々のあたまの中なのだ、ということだけは忘れないようにしたい。ソーシャルなんてしるかよ。
関係者の映像でCBGBのトイレがひどい、とか散々言われていたけど、確かにいろいろ堆積したりこびりついたりしていたけど - それらを削ったりめくったりして調査したわけではないけど、そこでなにをやるのかにもよるのだろうけど、そんなにひどくもなかったよ、と一応証言しておく。他にもひどいとこはいっぱいあったし、傾向で言えばロンドンのいくつかの小屋のが衛生面ではやばそうなかんじはたっぷりだったし。
Sid: The Final Curtain (2022)
おまけで上映された↑と同じ監督による20分の短編。
NYに来てからのSid ViciousとNancy Spungenの一連の事件を↑と同じ映像や関係者証言を使ったりしながら纏めたもので、わたしはこのふたりの痛ましい殺し合いのようなあれらはパンクでもなんでもない、メディアがおもしろがって煽りたてた悲惨で最悪の自殺のようなものでしかないと思っているので、それに対する批判的な視点が一切ないまま ↑と同じように懐古して上っ面に「パンク」ってラベル貼っているだけのこれにはちっとも乗れなかった。
5.21.2023
[film] Nightclubbing: The Birth of Punk Rock in NYC (2022)
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