6.25.2020

[film] Salt of The Earth (1954)

19日、金曜日の晩、映画監督のCarol Morleyさんが毎週やっている#FridayFilmClubで見ました。ふつうのYouTubeで無料で。このフィルムクラブ、こないだ『勝手にふるえてろ』(2017)をやっていたのだが逃してしまった。邦題は『地の塩』で、77年に公開されているもよう。このタイトルってマタイによる福音書の「地の塩、世の光」から?

ニューメキシコの亜鉛鉱山の炭鉱夫の妻Esperanza Quintero (Rosaura Revueltas)がいて、妊娠中の彼女は冒頭、生活は苦しいし - よいことなんもない - こんなんで生きていてもしょうがない、みたいなことを言う。

彼女の夫のRamon (Juan Chacón)はメキシコ系アメリカ人の炭鉱夫で、他の仲間と一緒に白人労働者と同等の待遇改善を求めてストライキに出るが会社はどこまでも交渉を拒否して、警察を呼んでRamonを逮捕したりする。で、あんたが牢屋に行っても特に生活に支障なかったし、って冷たく言うEsperanzaとの仲も最悪になる。

会社側はストに参加した労働者は逮捕できるんだぞ、っていう法的根拠を示して男たちを脅すのだが、それならあたしたちが、って炭鉱夫の妻たちが立ちあがってピケを張って、そしたら彼女たちが逮捕されちゃって残された夫たちが家事をすることになって、そういうのを通して男たちは自分たちには見えていなかった家事労働の大切さを知るの。そこから先はそうか一緒に闘えばいいんだ、になって..

炭鉱という仕事場での差別、と言っても賃金だけでなく人種とか階級とかいろんな側面があって、その差別への着目が家庭内での性差や「あたりまえ」に基づく別の差別のありようも明らかにして、それらを解決するにはひとり、ひとつの家庭ではだめでみんなで団結して声を集めて立ちあがるしかない、そうすれば変えることができるよ、って今だと割とふつうの視点(プロテストを潰したい側はこれとは逆に分断を煽る)だと思うのだが、当時はこれが「共産主義プロパガンダ映画」とか「アメリカ人一般に対する脅威」として上映禁止処分をくらってアンダーグラウンドで細々と上映されていったというのだから。

もういっこ、この一連の闘争を通して映画の冒頭では死んだ目をしていたEsperanzaが闘う女性としての自分に目覚めていくフェミニズム的な側面もあるのだと。うん、確かにこの映画の主役は彼女だと思った。

監督のHerbert Bibermanはハリウッドの赤狩りでパージされたThe Hollywood Tenのひとりで、他のスタッフのみんな赤狩りでやられていて、このため制作は分散で極秘で行われて、でもチーフ編集者がFBIからお金を貰っていたことがばれたり、この映画の制作から流通までの困難とかごたごたの方がドラマになったりして。

キャストもプロの俳優は5人だけ、他は実際の労働者をそのまま使っているのでヘタウマ感はあるし、もっと巧く盛りあげられそうなところもある気もするのだが、それでもこの時代に差別と闘争を正面から取りあげたという点だけでも十分おもしろい。これをアメリカ人に対するヘイトにしてしまう視点の方がすごい(ほめてない)かも、って。

しかし今の日本も相変わらず顕著だけど、共産党、共産主義を病的に嫌うあれって、たぶんこの時代から植え付けられたあれなんだろうが、首相を病的に崇拝するのと同じでどっちにしてもカルトの思考停止としか言いようがない。思考停止しているので連中には何言っても通じない。 でもそういうのがゾンビみたいにうじゃうじゃいる(ゾンビごめん)、っていうのは単純におそろしい。これは明らかに仕組まれた教育の失敗で、だからあの国はもう..

あと、上映後のTwitterのやりとりで、英国の映画にも炭鉱モノっていうジャンルというか括りがあるんだって。掘っていったらおもしろいかも。


今日は今年の最高気温 - 33℃? - を記録した日で、午後はもう完全にだめでどうしようもなくて、夕方にチェルシーの方に買い物に出て西瓜を買って食べるのだけを楽しみにしていたのに、行ったら西瓜売り切れ..  ここの西瓜だけは他のとこのと違ってしゃりしゃりしておいしいのにー。

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