5月28日、木曜日の晩、La Cinémathèque françaiseのHENRIで見ました。
HENRIに日々やってくる映画ってどれも見たいのばかりなのだが英語字幕がないと難しいので我慢してて(Raúl Ruizのとか)、でも英語字幕があるのはできるだけ見るようにしていて、なかでもJean Epsteinのは大好きで、ドキュメンタリーの“Jean Epstein, Young Oceans of Cinema” (2011)も含めて見ている。英語題は”Double Love”。もちろんサイレント。
20世紀の初め、サロンで歌ったりして貴族たちの羨望の的になっているLaure (Nathalie Lissenko)がいて、でも彼女が付き合っているのは大きな車工場のとこのぼんぼんで博打狂いのJacques (Jean Angelo)で、バカラですっからかんになって自殺しそうになっているからLaureがチャリティでなんとか集めたお金を渡したらそれも使いこんで、Jacquesは父親から愛想つかれてアメリカに送られ、Laureは社交界から追放されて、さらについでにJacquesは赤ん坊がまで残してくれて..(なんてひどい奴)
そこから20年くらい時が流れて、Laureはシングルマザーのまま歌手として成功していて、そこまではいいのだが、Jacquesとの間の息子のJacques (Pierre Batcheff)が父と同様に博打に狂っててどうしようもなくて(溜息)、ママもうこれで終わりにするから、とか言ってお金をせびりにくるのでちょっとぶん殴りたくなる。
そんな母子のところにアメリカで実業家として成功したJacquesが戻ってきて、みんながお大尽さまって右往左往するディナーの席でLaureが歌う姿を見るとJacquesは、あ.. って逃げるように席を外して博打のテーブルに行って、久々だしやってみるか.. ってやり始めたら強いので注目されて、それを見ていたのが彼を父とは知らない息子Jacquesで、流れてきたいかさま札を試したかったっていうのもありやっつけてやるぜ、って父と勝負して、でもあっさり負かされちゃって、更にそのいかさまがばれちゃうの。
身に覚えはなくてもいかさま事件に巻き込まれてしまったということで警察から申し訳ないけど相手を確認してほしい、とJacquesの家に連れていかれるとそこにはLaureがいて..
夫からも息子からも裏切られて酷い目にあってぼろぼろになった女性が復讐するのでも泣き寝いりするのでもなく、そうだよねそこしかないよね、みたいなところに落ちるのがよくて、因果は巡るよ自然派メロドラマとしてよくできていると思った。
タイトルの二重の愛って、LaureからふたりのJacquesに向けられたものなのか、ふたりのJacquesからLaureの懐に向けられたものなのか、ひょっとしてふたりのJacquesの博打愛とか..
最初の方には海の波が寄せてくる映像が頻繁に映されるので、最後はみんな海の藻屑.. を想像したのだがそれはなくて、それにしても彼の撮る海っていつもなんであんなに素敵なのかしら、って。
Jean Epsteinの映画のどこがおもしろいのかというと、台詞がそんなになくても表情と動作と人物の位置関係、そしてカメラがどこにいるか、でなにが起こっているのか、なにがやばいのかがが見渡せてしまうことなのね、って思った。 だからどこを切りとってもかっこいいの。
他のHENRIのでおもしろかった短中編 - どちらも英語字幕;
La Brune et moi (1979)
当時のフレンチパンクバンドがいっぱい出てきて演奏する。
いつも元気でパンクなちんぴら女の子AnouschkaがPierre Clémentiの会社員とぶつかって、会社員は彼女のことが気になって追いかけて、Anouschkaからあたしはパンクのバンドで歌いたいのでバンドを見つけてきてくれたら付き合ってあげる、って言われたので、真面目に探して彼女と引きあわせるの。その選考とかリハーサルの間に、いろんな場所で当時のバンドがライブを繰り広げてくれる。
知らないバンドばかり(知ってたのはEdith Nylonくらい)なのだが、どのバンドもかっこいいったらよう。 見たらびっくりするよ。
Dans le vent (1963)
Jacques Rozierの短編、音楽がSerge Gainsbourgで、街のおしゃれさん、を追った記録スナップ、スケッチみたいなやつなのだが、しみじみどう見てもおしゃれでシャープで。こういうの見るとファッションてパリねえ、しか出てこない。
アメリカが、NYがとっても心配で、行けるものならすぐにでも飛んでいきたい。なにかできないか。
こんなとき在英日本大使館から『「米国における黒人男性の死亡事件」に対する抗議活動についての注意喚起』ていうメールがくる。ロンドン市内でこれから行われる抗議活動の場所と時間を教えてくれて巻き込まれないように注意しろ、って。
教えてくれてありがとう。 明日の昼のは無理だけど週末のは行こうかな。
あと、「死亡事件」じゃないから。無抵抗の市民に対する警官の「殺人事件」だから。(にっぽん、よねえ)
6.02.2020
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