少し遡って12日の火曜日、Royal Opera HouseでのThe Royal Balletの公演を見ました。
これもチケットがぜんぜん取れなくて、ここんとこなんでチケットの話にばかりなるかというと、ふつう自分が本当に行きたい公演とかって、発売日に前売り買ってその日が来るのを待つわけだが、そこまでの情熱あれこれが摩耗してきている & 当日までの予定が手前になるまでわかんない自分のようなのにとって、直前とか当日にリリースされるリターンチケットを手に入れるのがとても大切で肝心で、で、それをじりじり待っている無駄な時間に、なんでこれに行くのか? そんなに、ほんとうに行きたいのか? とかいろいろ自問しまくることになって、それって前売りを買って指折りながら楽しみに待つのと変わらない時間で、なんかよいの。
もちろん取れないこともいっぱいあるので事前に取れるのは取っておくのに越したことはないのだけど、こんなふうに直前になっても正価で入手できるのはありがたいことだわ。
それにしても、この日のはあまりにぜんぜん取れなかった。表示が出てもごく一瞬で消えてしまうし、バレエの場合遠くのバルコニーとかの遠めの席ははじめから狙ってないので、ようやく手に入ったのは当日の昼間くらいで、しかも、またしても一番前だった(注:ここの一番前のは真ん中へんよか価格は少し安い - おそらく足先がちょっと見えにくいから)。
で、みんなが知っているSwan Lake。 メインで踊るのはMarianela Nuñez & Vadim Muntagirovのふたりで、フィルム撮りがあって世界中に配信されるし、同時中継で英国中の野外(ロンドンだとトラファルガー広場とか)にも流されます、と。
振付は旧来のPetipa-Ivanov版(+ ACT IIIのNeapolitan DanceだけFrederick Ashton)に加えて英国のLiam Scarlett – こないだ3月のBernstein Centenaryでは、モダンの”The Age of Anxiety”を振付してた- が入っていて、でもどこをどの程度変えた加えたのかは不明。 そう簡単にいじれるもんでもなかろうに。
バレエを見るのが、なんで前の方の席のがよいかというと、ジャンプして着地したり回転したり固まって移動するときの床を打つ足音とか衣摺れの音とかがでっかく聞こえることで、これがあるのとないのとでバレエを見る快楽の度合いは違ってきて(個人差はあります当然)、べつに足音が聞こえないのであれば映画館配信のでっかい画面で見たほうがよい、と思うくらい。
もういっこ、最前でおもしろいのはオーケストラピットが真下にあるので、普段は聴けないような距離でクラシックの楽器の音(当たり前だけどすごくいい音)とか楽譜をめくる音とか指揮者の鼻息とかが鳴っているのでおもしろくて – カスタネットを両手に持って招き猫のかっこで叩きまくる奏者とか - このへん、舞台に集中できないのであんまよくないのだが、そういうのもある。
これまで一番Swan Lakeを見たのはABTのFull Length versionで、一番多くみたのはNina AnaniashviliさんのSwanで、ACT IIの終わり、彼女の”The Dying Swan” - 瀕死の白鳥 -で客席がぞわわわあー ってなるのを見るのが楽しかったのだが(でもちなみに、いちばん鳥肌がたった「瀕死」は90年代に見たMaya Plisetskayaさんの - )、Royal Balletのにはそのパートはなくて(誰にでもできるもんじゃないし)、でも隅々までまったくブレもダレもないクオリティはさすがRoyalだねえ、て思った。
Marianela NuñezさんのOdetteとOdileの対比も見事(Odileの方がだんぜん楽しそう)だし、Vadim Muntagirovの(素のときと違いすぎる)ぎんぎんの王子様っぷりも楽しかったし、悪漢Von RothbartのドSな佇まいもたまらなかった。でもACT IIIの民族音楽のとことか、もうちょっと冒険してほしかったかも。 全体におとなしくてお行儀よすぎかも。紅茶じゃなくてウォッカあおってやってほしい。
終わって、オーケストラピットのお片付けを見るのが楽しくて、びっくりだったのがハープの片付けで、下にシート敷いてから上にくるくる巻きあげて、ひとりであっという間に一丁あがりだったの。
会場にMaggie Smithさんがいた。すごく話しかけられたくなさそうだった。
6.28.2018
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