5月23日の晩、BFIの”Lost in America: The Other Side of Reagan’s 80s” 特集で見ました。
これのスチールが特集のKey visualにもなっている作品。岡崎京子の同名漫画との関係は、わかんないわ。
冒頭、薄汚れたガキ - Timが意味ありげに人形を川に流すシーンがあり、その川の反対側にはでぶで目がふつうじゃないSamson (Daniel Roebuck)がいて、その横に目を虚ろに開けた裸の女性の死体が転がっている。(どちらもやっちゃった.. かんじのイメージ)。
そのガキが家に帰ると彼の妹らしい小さな女の子が人形がいなくなったようって泣いていて、その兄のMatt (Keanu Reeves)のところにはやたらテンションの高いLayne (Crispin Glover)が来て、ふたりで車に乗ってボロ屋にひとりで暮している怪しいFeck (Dennis Hopper)のところに行ってマリファナ貰ったりしていて、そうやってぐるりとまわっていくと、彼らはみんなおなじコミュニティの、同じ学校でうだうだしている仲間たちで、殺されていた女の子も仲間のひとりのJamieであったことがわかって、やがてSamsonがJamieを殺したことをみんなに言うと、まじかよ、みたいな反応になるのだがそこまでで、Mattは荒んでいる弟Timのことも気になるし、Clarissa (Ione Skye)のことも好きになったみたいなのでそんなの関わりたくないし、Layneだけはてえへんだてえへんだ、て大騒ぎしているのだが、Samsonを守ろうとして結果ぜんぶ裏目に出ていったり、やがてSamsonはFeckのとこに行って、警察も動きだして、それで。
彼らは自分達がぜんぜんいけてないいかれとんちきであることを十分わかっていて、でもだからといってどうすることもできないので一緒に葉っぱ吸ったり公園で一緒に寝たり川に行って女の子を殺しちゃったりしていて、それでも自分達はひょっとして特別ななんかになれるかもと思ったりもしていて、つまり支離滅裂すぎて途方に暮れて、川縁に佇むしかないという。
“We could just take all our parents’ money, take off, discover America, and make like we’re Easy Rider plus five”
川縁っていうのは向こうから流れてきた何かがそこに溜まっていく場所なのか、ここから何かを流してさようならする場所なのか、どちらにしてもそこは世界の端っこ(そこに海はない。まだ見たことない)で、そこから川を下って世界に漕ぎだして行く、旅に出ていくだけの度胸もそんな必要もない。そこに流れはあるのに見えるのに、すべてが停止して動けなくなっている世界。
そしてそこにいる大人ときたらFeckみたいな世を捨てたごろつき変態か、Mattの親みたいに喧嘩ばかりしているか、警察みたいなのしかいない。どん詰まりばんざい。
これらって確かに80年代の真ん中過ぎた頃から何か(何?)に疲れたかのように現れてきた態度で、これがもっとストレートにダイレクトに溢れかえって、たまらず”Real Me”みたいなふうにゲロはじめるのが90年代のあたまで、そういう節目みたいなところはなんかよくわかって、とてもあれこれ考えさせてくれる群像劇だった。
その辺を確かめるためにもこの特集でかかったドキュメンタリー”Streetwise” (1984) は見ておきたかったよう。
この頃のKeanuはまだかわいらしいかんじなのだが、これの8年後、更にネジが外れて化け物に変貌したDennis Hopperと、逆に何かを見出したらしいKeanu Reevesが改めてLAで激突することになるんだね。 ... “Speed”
で、川縁でたむろしていた若者らは今どこにいるかというと、ネットの縁でわーわー言っているばかりでとても静かで、そのぶん相当やばいかんじはする。
音楽はSlayerとかががんがん流れる合間に、Wenders作品を手掛けてきたJürgen Knieperがすばらしい音をのっけてくる。
6.01.2018
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。