3日、Sundance in Londonの最終日、15:00からSurprise枠となっていた1本があって、面白そうだからとりあえずチケット取ってあれこれ予測して、”Wildlife”かこれかなあ、て思っていたらこれがきた。”Wildlife”のほうがちょっと見たかったけどなー。
タイトルが発表になって監督が少しだけ挨拶してすぐ始まったのでどんな話なんだか、誰が出ているのか見当もつかない状態で見る(のって楽しい)。
一番最初に、”This movie is based on the true event” とかよく出るあれの真ん中の”- based on -”が抜け落ちて、”This movie is the true event” になる。
そこから複数の男達が白系のメイクアップして重装備で車に乗り込んで移動して車から降りて建物の前に鞄とかを抱えて横並びするシーンになって、ああこれから強盗とかするんだな、血みどろになるのだったらやだな、とか思っていると話はそこから数カ月前、に遡る。
2004年のKentucky、大学に入ろうとしているんだか入ったんだかのSpencer (Barry Keoghan) は、君はいったい何者だ?(どこで生まれたとか親が誰とかそういうのじゃなくてキミ自身だよキミ)、とか面接で言われて、そんなこと言われてもさ、と部屋で自画像とか描いている。大学 - Transylvania Universityの施設見学でそこの図書館の稀覯本コレクションのところでガラス棚に入ったJ.J.Audubonの”The Birds of America” -『アメリカの鳥類』のベニイロフラミンゴの首筋が目について離れなくなった彼は、あれいいなー、と幼馴染のWarren (Evan Peters) に話すと、それはすごいしぜったいお金になるんだったら分捕ろうぜって。 でふたりで画策を始める。
で、ここのところで突然、”Real” Spencerていうのと”Real” Warrenていうの – ぜんぜん俳優ぽくない人達が顔を出してこちらに話しかけてきて、実際に、ほんとにこいつらがしでかしたのだということと、ここにこうして出てきているということはこの先彼ら死んだり殺されたりはしないのね、ということで少しほっとする。
そのうち盗んだ本を捌くための闇屋のコンタクトを求めてNYに行って、Warrenは更にそこからAmsterdamに飛んで(怪しげなUdo Kierとかと会う)、更に実行するためにもう二人 – EricとChasを招き入れたり(このふたりもRealなのが登場する)、Social Networkは広がって、で、“Rififi” のDVDなんか見たりして研究して、配置とかロジとか決めて車調達してリハして、とにかくライブラリのあの部屋にいるばばあをなんとかすれば、とか、名前で呼び合うのは危険だから色にしよう、とか言って俺Pinkかよ… とかぶちぶち言ったりして、とにかく当日がきて… (でも当日は躓いたのでその翌日になって)
実行した当人たちがしゃあしゃあと画面に出てきてべらべら喋っていることからもあんま上手くはいかなかったのね、というのは初めからわかるのだが、見事にずっこけたもんだねえ、とか、そういうずっこけ間抜けぶりを楽しむやつなのかも。 音楽だけは”Ocean’s Eleven” (2001) みたいにキレがあって威勢よかったんだけどねえ。
でもさー、そもそも『アメリカの鳥類』盗もうって時点であなたアタマだいじょうぶ? て思うよね。2004年当時の相場はしらんけど、丁度今月14日にNYのChristiesでこれのオークションあるからサイト行ってみ - 800万 - 1200万USDするのよ。 しかもあんなばかでかいやつ、5cm動かしただけでもお縄じゃん、とか思うのだが、宝石とかよりも狙えるし狙うべし、の方に行っちゃったのね。なんとなく。
ただそんなずっこけ犯罪ものでも、実際に実行した連中の目線と証言が加わるだけでとても面白い厚みが出てくるものだねえ、と思った。のと、”The Killing of a Sacred Deer”のBarry Keoghanの期待通りの不気味な鈍重さとX-MenのQuicksilver – ほんとにQuicksilverだったらねえ – のEvan Petersの軽快さの組合せがなかなかよくて、青春映画として見れないこともなかったかも。
あんま関係ないけど、5月25日、金曜日の夕方にABA Rare Book Fair London ていうのに行ってみたの。ABAって、調べてみると1906年に設立されたAntiquarian Booksellers’ Association(日本だと古書組合?)ていう由緒正しい団体らしく、Sloan Squareの駅からのシャトルで行ってみると、会場にすごい数の古本屋がブースを組んでて、英国はもちろん、ヨーロッパ全域から、米国のNY, Brooklynから(知らない店ばっか…)とか幅広くて。 それ以上にびっくりだったのが金額で、普段こまこま漁っているやつと桁が2つ3つ違っているので泣きそうだった。でもみんな値札があったから売り物なんだよね。 『アメリカの鳥類』に到達するまでにまだまだいっぱいあるんだなあ、って。
ぜんぜん関係ないけど、さっきThe Theの復活見てきて、もうこれでいつしんでもいいかんじになっている。
でも今月はまだまだしぬわけにはいかないのだった。
6.05.2018
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