2日の月曜日の晩、Barbicanの映画館で見ました。
ここで始まったBasquiatの回顧展に合わせてかつてのNYのアンダーグラウンドを描いた映画の特集 - "The Grime and the Glamour NYC 1976-90"があって、どれも見たいのばかりだったのにぜんぜん行けなかった。 そんななか、これだけはかろうじて。
この特集で例えばどんなのがかかったかというと、"Permanent Vacation" (1980), "Wild Style" (1983), Susan Seidelman の"Smithereens" (1982)に"Desperately Seeking Susan"-『マドンナのスーザンを探して』 (1985), Chantal Akerman の"News from Home" (1977), Raul Ruiz の"The Golden Boat" (1990)、などなど。 個人的に70年代末〜80年代初のNYダウンタウンシーンのあれこれを追っかけるのはライフワークみたいなもんになりつつあるので、どれもとっても見たかったのにさ。
この映画は監督のBette Gordonの原作をもとにKathy Ackerがスクリプトを書いて、音楽はJohn Lurieで、撮影はTom di Cilloで、Nan Goldinが端役で出ていて、Special ThanksにはSara Driverの名前があって、探せばまだ他にもあるかもしれないが、要するに80年代初のNYダウンタウンで映画を撮ったりしていた連中がごっそりそのまま共謀して共犯しながら作っていった匂いがぷんぷんする。
Christine (Sandy McLeod)は雑誌に記事とか書いていて夢もいろいろあるけど、とにかくお金がなくて困っていて、ジムで友人のNan (Nan Goldin)に相談したらTimes Squareにある"Variety"ていうポルノ映画館のチケット売り場の仕事を紹介されたので行ってみる。
そこはひとりしか入れない窮屈なチケットブースで、客は当然男、しかも変な奴ばっかしで、仕事仲間にはLuis Guzman - まだ若くてぴちぴち、でもちんぴら - とかがいて、恋人のMark (Will Patton - "Desperately Seeking Susan"の悪漢ね)には変な顔されるしあんまぱっとしなくて、休憩とってロビーに出てみれば喘ぎ声とかいっぱいで、そんなある日、お金持ちそうなお客のLouieに誘われてNJのAsbury Parkのほうに行ってみたり、彼女のなかで少しづつなにかが変わっていく - 変わっていっているようにこちらには映る。
仕事なんてどれもおなじお金のためよ、と割り切って始めた映画館での仕事、その視野 - チケットブースからの光景、そこを通過する手から先だけの男たちとその声、ロビーの音、扉の向こうでずっとかかっているポルノ映画、が彼女の普段の生活 - ジムのプール、バーやカフェでのおしゃべり、母親との電話、などにどんなふうに影響を与えていくのかを多分にフェミニズムの観点から追っていく。 「多分に」というのは最後まで彼女の行動はとりとめなくて予測がつかないから。 予測がつかない、けれどとても親密でそこに生々しくあって動いて変わっていくように見える - というのはこの時期のNan Goldinの写真から受ける人々の質感、存在感にも近いなあ、とか。
女性監督が撮ったポルノ映画館で働く女性の物語 - というと昨年(だっけ?)アンスティチュで見た『シモーヌ・バルべス、あるいは淑徳』 - "Simone Barbès ou la vertu" (1980)を思い出したのだが、時間的にも近いし、なんか影響関係とかあったりしたのかしら?
監督のex.夫って、James Benningなの.. ?
10.07.2017
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