7日の午後、"The Meyerowitz Stories (New and Selected)”を見た後に、Prince Charles Cinemaに移動してみました。
これもLFFで、これも父親がコーマになってしまうお話だった..
Indiana州のColumbusで、建築家の男性が雨のなか倒れて、その後に彼の息子Jin (John Cho)がやってきて滞在を始めるのだが回復するのかもわからないまま、ただ待つしかなくて、そこで地元の女性Casey (Haley Lu Richardson)と知り合う。 彼女は建築を勉強していて、できれば建築家になりたいという夢があって、そのためにここを離れて他の大学で、という話もあるのだが、療養中で不安定ででも工場で遅くまで働いている母親の面倒を見るためにここにいる必要があるのだという。
それぞれの親の事情でColumbusに留まらざるを得なくなっているふたりの、特にすることもないのでタバコを吸いながらColumbusの建築を眺めてあーだこーだ言ったり、ぼーっとしたりする無為な日々を描いた、ほとんどそれだけの映画なのだが、びっくりするくらい、ものすごくよいの。
画面はほぼ固定で、人物の像は遠くから背中をむけた状態でとらえられたものが多くて、その向こうには建物がでっかくあって、その状態で静かに会話してばかりなので建築の紹介番組みたいに見えなくもないのだが、森や緑の間からぬうって抜き出て建っている建築物たちを見ていると、これらってそもそもなんでここに建っているの、とか、なんでこんなものの前で立ちつくして魅せられてしまうのか、という疑問はふつうに湧いてきて、彼らもそれに近い会話をしたりしながらそういえばそうかも、とか発見したりしている。 肉親が倒れたり病気だったり、自分らの将来も含めて不安定な宙吊り状態にある彼らからすると、でっかい建築の揺るぎない確かさとか不変さって、素朴な違和、異物としても現れてきて、なんなのだろう - 変なの、というのが見ているこちらの感覚としてもよくわかるし伝わってくる。
それが伝わるように画面とか光の具合とか音とかを柔らかく繊細に掴まえようとしているようで、他の土地だったら河だったり湖だったり岩だったり森だったりするかもしれないそれらが、この映画では建築物であることがとてもよくわかって、それがわかってくる頃に近づいていくとは思えなかったふたり - Jinのそばには父のアシスタントだったEleanor (Parker Posey)がいる - の距離も。
John Choの抑えまくった異邦人としての演技は溜息もののよさなのだが、それを静かに受けとめるHaley Lu Richardsonさんがすばらしくよくて、Ellen Pageさんが出てきた頃のようなかんじ。 いつも口はへの字に結ばれていて、じゅうぶんわかっているのに互いに踏みこめなくて、浮き沈みを繰り返しているけど悟られたくはなくて、結果あーあ、って俯いてしまう - またしても。 その連続。
Columbusは行ったことないのだが、こういう映画で見る建築の数々はとても素敵だったので、機会があったら行ってみたいかも、て思った。
https://columbus.in.us/guide-to-the-architecture/
10.13.2017
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