13日の金曜日の晩、BFIで見ました。 LFFの1本で、これは旧作。英語題は”The Truth”。
昔の(と言ってもせいぜい10年くらい前だけど)映画祭って、新作を見るというより旧作の特集を纏めてみるために行っていたのよね、って思いだした。
本編の前にBrigitte Bardot 繋がりでJacques Rozierの短編”Paparazzi” (1964)の4Kリストア版が上映された。昔イメージフォーラムで見たのと比べると画質が笑っちゃうくらい綺麗にクリアになっているのだが、この作品に関しては隠し撮りしているかんじたっぷりのもやもや安そうな画面がよかった気もして、どうかしら、と。
上映前にリストアを担当したSony Picturesの人の挨拶があって、リストアは2016年からずっとやってて、ようやく出来あがって来週(もう今週?)フランスでリバイバル公開される予定。素晴らしいものになったので見てね、と。
Dominique Marceau (Brigitte Bardot)は刑務所にいて恋人のGilbert(Sami Frey)を殺した容疑で裁判にかけられている。映画は彼女がやったと審議する側全員(やらしい男ばっか)が確信している中、まるで魔女狩りのようなかんじで進行していく裁判の様子と、実際に何が起こっていったのか - DominiqueとGilbertの出会いから事件まで - を往ったり来たりしつつ描いていく。
クラシックの指揮を勉強しているGilbertは初めはDominiqueの姉のAnneの恋人で、それをDominiqueが誘って落として(落っこちて)からGilbertは彼女にめろめろになって一緒に暮らすようになるのだが、できる限り彼女を自分の傍に置いて好きなようにコントロールしたい(ほら、指揮者志望だから)Gilbertと、まだ若いんだから勝手に好きに遊びたいし、のDominiqueの間に溝ができて、その溝を見ないふりして追っかけて縛りにくるGilbertと溝を拡げて逃げまわりたいDominiqueとの亀裂は決定的で、一旦は別れるのだが、やっぱりなんか寂しくて死にたくなって死のうと思ったDominiqueがGilbertのとこに行ったらありえないような罵倒の言葉を浴びせられてそれで…
この手の色恋にまつわる惨事とか暴力沙汰とかは今でもそこらじゅうに犬の糞みたいに落ちているので珍しくもなくて、それどころか50年以上前の話とはとても思えない生々しい臭気に溢れているので見るのがきつくて、それにしても、それ以上にすごいのは彼女を裁く陪審の男たちのミソジニーぷんぷんの気色悪さで – でもこれもまた既視感たっぷりでさあ。 なかでもPaul Meurisseなんか、Melvilleの“Le Deuxieme Souffle“ (1966) - 『ギャング』でもLino Venturaをねちねち追い詰める嫌なかんじの奴だったけど、ほんとに怖いったら。”The Truth”を暴きだす法廷ドラマ、というより彼女ひとりを寄ってたかって追い詰めて男共にとっての”The Truth”を練りあげてしまう奇怪な心理サスペンスとしか言いようがなくて、この辺がHenri-Georges Clouzotなのかしら。
上映前にBrigitte Bardot主演もので最高傑作のひとつ、と紹介されていたが確かにあの狂いっぷりはすごくて、Femme fataleとは異なる、真逆のカテゴリーなのだが強烈に残る。
日本でも上映されてほしいなー。日本だからこそ。
10.20.2017
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。