6日の昼間に見ました。 日仏で始まったPhilippe Garrel特集の最初の。「救いの接吻」。
モノクロ、英語字幕。 英語題は”Emergency Kisses”。
映画監督のマチュー(Philippe Garrel)が妻のジャンヌ(Brigitte Sy)との関係を題材に映画を撮ろうとしているのだが、彼は妻役に別の女優をキャスティングしていて、ここは自分が演じて当然と思っているジャンヌは、これを「裏切り」として騒いで出ていってしまう。
ジャンヌを演じるBrigitte SyはPhilippe Garrelの当時の妻で、当時の(あ、いまもか)息子 - まだ三輪車に乗るハナ垂れ - をLouis Garrel が、監督の父を実の父のMaurice Garrelが演じていて、要するにほんもんの家族が(ほんとうにあったかもしれない)家族の危機の物語を演じている。
“Stories We Tell”を見た後だと、ちょっと混乱したりもするが、こっちの家族が語る言葉は、ダイアローグ担当のMarc Cholodenkoの作った台詞なので、彼らの言葉も演技も現実を反映したものではないはずなのだが画面上に滲んでくる家族同士の緊張感と、その背後にあるに違いない(あってほしい)親密さにはどきどきはらはらする。 おそらくどちらも本当で、でもどうすることもできない。
それにしても、モノクロフィルムの黒、そこにちりちりと入ってくる傷の美しいこと。
このために、こういうのを映し出すためにフィルムはあって、これを見るために暗闇に潜るんだわ、と噛みしめた。
あとは、これが映画デビューになったというLouis Garrelと、もういなくなってしまったMaurice Garrelと。 そのLouis Garrelを真ん中に置いて、未だに愛の難しさ、愛のもたらす傷、時間が作りだす痕、についての映画を撮り続けているPhilippe Garrelと。
9.23.2014
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