9.23.2014

[film] Stories We Tell (2012)

31日の日曜日の午後、渋谷でみました。「物語る私たち」
一度メルボルンでほんの少しの差でミスして、ずっと見たかったやつ。

Sarah Polleyによるドキュメンタリー。
既に亡くなった自分のママについて、ママが生前どんなひとだったのかをパパとか兄姉、 父の異なる兄弟にも聞いて繋いでいって、やがて浮かびあがる自分のこと家族のこと。

ママはとっても陽気な楽しいお転婆さんで、誰とでも仲良くなれて、でも寂しがりでひとりではいられなくて、云々。

たぶん時系列としては逆で、自分の出生についてのある発見があって、そこから遡って全体の構成を作っていったのだと思う。 メインはパパの昔語りだが、その原稿は準備されているし、パパが読みあげるその語り口や語りの間について、監督である娘から注文が入ったりもする。 ひとつの事実を追跡・究明していく形のドキュメンタリーではなく、既に判明している事実から撚り合わされ、練りあげられたお話し(一部本人ではない俳優さんが演じたり)。 わたしのママ、の話ではなく、家族ひとりひとりにとっての、複数のママの物語 (Stories. We. Tell)。

だからといってドキュメンタリーで語られるべき「真実」が歪められるようなことは勿論なく、「ママったら... 」みたいにあきれかえる事態が露わになるわけでもなく、逆に物語は家族の沢山の笑顔と泣き顔と真顔に支えられてよりぶっとく、強く、感動的なものになった。  更にそれはどこの誰にとってもありそうな「ママ」の思い出としての強さと輝きを湛えている。

泣いていいのやら笑っていいのやら。 ママはずっと笑っていたから、笑っていいのよ、と言うだろうか。
話の筋だけ聞けばなんかひでえ話、とも思うのだが、ほのぼの笑えてしまう不思議。(特に2番目に疑われた彼とか... )

そしてそれが、アルツハイマーで向こう側へ行ってしまった老妻を描いた "Away from Her" (2006)、自分の意思と決意で仲良しSeth Rogenの向こう側へ行くことにする女性を描いた"Take This Waltz" (2011)、これらを監督したSarah Polleyの手によって作られた、というのはなんというか別の感動をもたらすの。 今後のはとっくに向こう側に行ってしまったママがいきなりなんか言ってくるはなし。  どこまで一貫しているのよ、ていうのと、それって血なのかしら、とか。

それにしても、素材は昔に撮られた8mmと周辺家族・関係者へのインタビューだけ、これだけでよくあんなにも面白く、さらっとしたもの作れたもんだわ。 結構笑えるし。 
デプレシャンとかの家族ドラマになってもおかしくないくらい(というのは誉めすぎだろうか)。

あと、これって男の監督だったらできないだろうなー、とかなんとなく。

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