11.16.2011

[film] This is Spinal Tap (1984)

11日、金曜日の晩にBAMでみました。

"The Movie that Goes to 11: This is Spinal Tap"という特別上映が夜の7時と11時11分11秒の2回あって、11時のほうを。

11年11月11日11時11分11秒きっかりにはじまる。 
(でもちゃんと画面に時計をだして同期をとるわけでもなく、秒針がわかんないから結局みんなの掛け声ベースになったの)
なんでこだわるかというと、知っているひとは知っていると思うが、このバンドのアンプの目盛りが10ではなく11まであるからなのよ。
くだんないけどね、でもこういうしょうもないこだわりがこの映画のすべてでもあるの。

というわけで、11時11分の回はSold Outしてしまったのだった。 客席は普通の格好した中高年ばっかし。
主催者が嬉しそうに、US国内にはこれの35mmプリントがなかったので、スカンジナビアのどっかからわざわざ取り寄せたのだという。
たった2回の上映のために。  DVDだって出ているんだから別にいいのに、でもこのこだわりこそが... (以下略)

上映前に特別プレゼント、ということで、チケットの半券の番号で抽選会があった。 
商品はギターアンプ....
こればっかりは当たりませんように、と少し祈ってしまった。 (前の列のひとに当たってた)

振り返ってみるとこの月曜の晩に見たのがCarl Reinerの映画で、金曜の晩のがRob Reinerの映画だった。
Reiner親子に挟まれてしまった一週間にどういう必然と偶然が働いていたのか。 
これもすごくどうでもいいことではあるのだが。

架空のロックバンド"Spinal Tap"のRockumentary。
60年代の結成からスタイルをころころ変え、ドラムスの屍体の山を乗り越え、メガロックバンドとして米国に上陸する、その大活躍の表裏をドキュメントしているの。 メタ・ドキュメンタリーでもあるの。

84年の段階で、ここまでロックバンドとそのスタイルについて鋭い洞察と観察力でもって、そのありようを描いたものはなかった。
そしてその殺傷力はいまだにぜんぜん有効である。 というか、「ファンのため」を名目に金目当ての再結成を繰り返す三流バンドと業界一丸となってそいつらを甘やかす提灯メディアがはびこる今こそ、改めてじっくりと見られるべき映画なのだとおもう。

それにしても、この映画の延長線上にあった"Wayne's World"(92-93)以降、もうこういう映画はほとんどなくなってしまった。
せいぜい、"Get Him to the Greek" (2010)くらいじゃなかったろうか。
もうほんとうに、その芯からロックの世界は腐りきってしまったのだろう。

公開すらされていない日本なんか、もうさいてーのど田舎だよな。
ファッションとしてのロックを喧伝する業界と、そのスタイルゆえに虐げられている(と思いこんでいる)メタル村の住民と。
そんなのぜんぶ、どーでもいい。 ほーんと、どうでもいいったらいい。 中指。

あと、Rob Reinerさんはこの後、"Stand By Me" (1986) - そういえば見たことねえや - とかでハートウォーミングなドラマを作る名匠、というラベルが定着してしまったようだが、あくまで原点はここだし、これが彼の最高傑作だとおもうの。

ほんとうにしみじみ愛されているバンドであり、映画なのだなあ、とおもった。
客席はみんなずうっと歌っているし。

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