11.28.2011

[film] A Dangerous Method (2011)

土曜日も映画2本。 

ライブは諦める(泣)。 BAMのPusciferも、BeaconのCure 3daysも。
Cureはくやしい。ほんとにくやしいったら。

夕方、Landmark Sunshineで見ました。
David Cronenbergの新作。これもNYFFでかかっていて、見たかったやつ。

もともと原作があって、舞台用の脚本もあって、更に実在した人物がモデルなので、あんまし転がしようのないお話だと思うのだが、でも、Cronenbergがこれを映画化した理由はなんとなくわかる。

20世紀初にチューリヒに統合失調症の患者としてやってきたSabina Spielrein(Keira Knightley)が担当医のJung(Michael Fassbender)と関係を持つようになり、その関係を対象化していくなかで独自の臨床論を構築していく。その過程で、Freud (Viggo Mortensen)とJungの方向性の違いも明確になっていく。

わたしは3人の登場人物についても、精神分析についても素人なので、こまこま出てくる用語や理論について詳細に論じることはできませんが(日本公開されたらもう一回みる)、Freudの現実の発言や挙動に根ざした治療を、という立場とJungのそれらが現れてくる根源の夢や世界像にまで遡るべしという立場の違いは、間にSpielrein嬢を置いてみることで、3者の関係のありようによって、より判りやすく見えてくる気がした。

そして、例えば、ここでの「精神分析」を「暴力」に置き換えてみること。
Chronenbergの暴力描写って暴力衝動を病理的に捉えることと根源的な力として捉えることの両者の間で常に揺れていて、その揺れを明晰に、それこそカルテを書くかのような冷静さで持って描きだすことにこの人の「暴力」の怖さ、リアルさがある、と思っているのだが、それがこの作品を通すことでようくわかったような。

精神分析も暴力も嫌いだ。 どっちも偉そうだから。

Keira Knightleyは、よくぞあそこまで。 下顎がすごいの。
Viggo MortensenもMichael Fassbenderも悪くはないのだが、どちらかというと肉よりの彼らがずっとちゃんとした学者の顔と格好していると、コスプレでもしているような変なかんじになったりした。 ぜんぜん悪くないんだけどね。  なんかおちょくりたくなる。

画面はずうっと静かで、重厚で、そしていつものようにかっこいい。
バックで流れていた分裂症みたいに変にゆれるピアノ曲はHoward Shoreのか。器用だねえ。

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