6月3日、土曜日の昼、シネマヴェーラのドン・シーゲル特集で見ました。
邦題は『暗黒の鉄格子』。原題についている”!”はオープニングタイトルには付いていなかったような。
モノクロのシャープな撮影は”An American in Paris” (1951)で見事なカラーを見せてくれたJohn Alton。
夜中に牧場主のFred (Richard Kipling)の家に侵入して何かを漁る影と音があって、それに気づいたFredは猟銃を持って追いつめようとするのだが逆に撃たれて、外に逃げて助けを求めようとした家政婦も背後から撃たれて亡くなる。
すぐに疑われたのが隣に移り住んできたばかりの使用人のGeorge (John Craven)とEllen (Teresa Wright)の夫婦で、よそ者だったということもあり問答無用で問い詰められて、銃なんて持っていない、とDougが言った途端に銃を湖に捨ててきたわ! とEllenが走りこんできたのでアウト。
周囲からの信頼も厚く、お金持ちのご婦人との結婚も控えた弁護士のDoug (Macdonald Carey)は、負けるに決まっているこのケースをひょっとしたら… と受けてみたもののやっぱりダメっぽくて、決定的な証拠になるはずだった銃をようやく発見しても判定困難にされ、ずり落ちていくように希望を絶たれて全負けして評判を失ってもう後がなくなり、Georgeも絞首刑の執行が決まってしまったところで、Georgeの前任の使用人でアル中で前科のあるMax (Jack Elam)が線上に浮かびあがり…
Georgeと妊娠中のEllenは見て話してみれば善人に決まってるのに、最初に警察とご近所がもう少し協力して真面目に捜査していればこんなことには、ってまどろっこしいのの典型なので、ドラマとしての盛りあがりには欠けるのだが、なかなか決定打に届かずにううーって仰け反ってばかりで苛立つところと、ほんとに一切、なんの関係もない彼らがあんなことに巻き込まれてしまうなんていくなんでも.. という辺りの生々しいうんざり感とか、弁護士界隈と町の辺境のノワールとのギャップとか、ちっとも昔とは思えなくてすごいなー、って。
Northern Pursuit (1943)
6月3日の夕方に同じとこで見ました。邦題は『北部への追撃』。
監督はRaoul Walshで、Don Siegelは助監督、Based on a true storyの原作はLeslie T. Whiteの小説 - “5,000 Trojan Horses" (1943) - スクリプトにはWilliam Faulknerが関わっているそう。
海の底から始まって最後は空の上でのどんぱちになり、”Mission Impossible”か”Die Hard”か、みたいに荒唐無稽なアクションがてんこ盛りでばたばた人が殺されたり死んだりしていくのだが、勢いで最後まで滑っていっちゃうのはRaoul Walshとしか言いようがない。
カナダの凍った入り江に突然ドイツの潜水艦が浮かびあがって、そこから出てきたHugo von Keller (Helmut Dantine) らドイツの(見るからに)軍人たちがスキーを履いて内陸を目指す。のだが、途中で雪崩にあったり散々で、そのうち山岳警察のWagner (Errol Flynn)に捕らえられ、Wagnerはドイツ人ルーツで独語を喋れたので、ここ以降の彼はHugo達からはこいつ使えるかも、っていいように使われて、カナダ当局からはこいつドイツの協力者かスパイではないか、って疑われてどうするんだどっちなんだ? ってなる反対側で、そんなことよりあたしたちじきに結婚するんだからね、と婚約者のLaura McBain (Julie Bishop)がなにかと強気に首を突っ込んでくる。
捕らえられたHugo一派は捕虜収容所を脱走した後、Wagnerを強引にガイドに立てて山の向こうのある地点を目指して、そこに辿り着くまでに仲間のErnst Willis (Gene Lockhart)やWagnerの同僚を次々と消していくのだが、その先にあったものとは —。
これ、あんな苦労して追ったり追われたりして山奥を目指すのなら最初から小さい爆弾をいっぱい持ち込んで爆破とかしていった方が効率よかったのではないか、とか。第二次大戦中にドイツ軍がカナダとか東海岸周辺で破壊活動をしていたのは本当だって。
ドイツ軍人のHelmut Dantineはいかにも、っていうかんじの強さなのだが、Errol Flynnがちっとも強そうに見えなくて、あんなんでいいの? にはなった。婚約者とそのパパとのエピソードにはなんとか収まるのだが、アクション系のとこがなー。
6.11.2023
[film] Count the Hours! (1953)
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