6月10日、土曜日の晩、109シネマズの二子玉川のIMAXで見ました。
みんなが比較対照しているアニメ版の方は見ていない。
Hans Christian Andersenの原作をベースとしたアニメーションもベースとしてRob Marshallが監督したミュージカル。脚本のDavid MageeとRob Marshall のコンビは”Mary Poppins Returns” (2018)から続く鉄板で、音楽にはアニメ版のAlan Menkenに加えてLin-Manuel Mirandaが加わっている。Ariel役のHalle Baileyの肌の色について差別をしたくてたまらない連中がわーわー言っていたがあれらを軽く蹴散らすベースクオリティの高さ。恥を知れ。
冒頭、アンデルセンからの引用として"But a mermaid has no tears, and therefore she suffers so much more"が示される。人魚には涙がないからどんなにつらくたって泣けない。これ、しょうもないスポ根の根性主義と混同しないこと(しないか)。
海の上、船の上で漁をしているのか宝物を探しているのか、どこかの国の王子らしいEric (Jonah Hauer-King)たちが仲間たちと歌って踊ってわいわい楽しそうに航行しているのと、その船底の反対側の海の中ではAriel (Halle Bailey)を真ん中にカニのSebastian (Daveed Diggs)と魚のFlounder (Jacob Tremblay)とカツオドリのScuttle (Awkwafina)たちがふわふわ楽しくArielの拾ってきたコレクションをみたり、父King Triton (Javier Bardem)の召集に間に合わなくて怒られたり、ふたつの全然違う世界を生きて漂う主人公ふたり、が描かれる。
船が難破して海に投げ出されたEricをArielが助けてあげて以来、Ericはずっと引っかかって離れないArielの面影を探すようになり、Arielも会いたいようー、ってなっているところにタコ魔女のUrsula (Melissa McCarthy)が取引を持ちかけて、3日間だけ声のでない状態の二足歩行できるヒトとして会わせてあげるけどその間にキスできなかったら… って。
Arielはそれを受けてEricと夢のような3日間を過ごしてママのThe Queen (Noma Dumezweni)にも紹介されてあとちょっとで… だったのだが、それを知ったパパトリトンは怒り狂って。自分は港々で人魚つくってきたくせにあんなにひどく怒ることないよな。
ほんとごくふつうのちょっと変な収集癖とより大きな世界への眼差しをもつふたりが出会って恋におちるかわいらしいBoy meets Girlもの(でよいと思う)なのだが、ふたりに海のものと陸のものとの違いがあった、ただそれだけで海の底をひっくり返す海獣大戦争みたいな海のスペクタクルが巻き起こって、スケールがでっかいのか小さいのかわかんないけど、海の方を怒らせたら大変なことになる、というのは教訓としてわかるものの、そっちのインパクトがややでっかすぎはしないか。
違う世界で育った違うふたりが出会って、互いのギャップに触れたりびっくりしたりしながらそれでもたまらず惹かれあって止まらなくなる、その過程をもう少しじっくり微細に煮詰めておけば – そっちの方を見たくなるふたりだったし - あんなおどろおどろしい軟体塩水ホラーが覆いつくす、とまでは言わないけど、小さい子供にあとあと強く残ってしまいそうなやつにはならなかったのでは、という気もする。この辺、なんでも実写にすればよいってもんでもないか、とか。カツオドリはカニとか魚みたら、まず食べちゃうだろうし、あんな程度で大ダコが – しかもMelissa McCarthyさまだよ - やられるなんてありえないわよ、とか。
あと気になったのは実写にしては水の中の動きが滑らかすぎないか、って。”Aquaman” (2018)もそうだったけど、あんなスピードで水中アクション(宇宙もおなじ?)ってできるものかしら? わたしにとっての人魚もののスタンダードは”Splash” (1984)で、あそこでDaryl Hannahが尾ヒレを動かして進んでいくちょっと重くて大変そうなかんじ、がふつうではないかと思うのでー。
最後の海の民も陸の民もみな兄弟、みたいなシーンは賛否あるのかも。Ericの国も下のマーケットの方に降りていくと奴隷もいなさそうでみんな幸せそうに暮らしているので、そういう理想郷の世界の話なのかもしれない。けどそれならなぜThe Queenは、世界が違うのだから諦めなさい、ってまずふたりを引き離そうとしたのか。ここは学級会などで議論できるテーマかも。例の肌の色と差別の件も込みで。
王国に貼ってあった青い魚のタイル、リスボンのタイル美術館 - Museu Nacional do Azulejoで見たやつだったなー。
6.19.2023
[film] The Little Mermaid (2023)
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