7.12.2019

[film] Support the Girls (2018)

3日、水曜日の晩、BFIで見ました。

“Computer Chess” (2013)とか、それがどうしたマンブルコア、の作家と言われてきたAndrew Bujalskiの新作。

Lisa (Regina Hall)はテキサスのハイウェイ沿いにあるDouble Whammiesていう女性が身体の線がぴっちりでて布面積の小さいユニフォームを着て明るく楽しくサーブしてくれるスポーツバー/レストランのマネージャーで、新しく応募してきた女の子たちにあれこれ指導したり、天井の通気菅に挟まって抜けなくなっているバカがいるから通報とか、ケーブルTVが映らない(致命傷)とか、BFに車でぶつけられて怪我した従業員のカンパで洗車営業しているところを見られてクビにする、って脅されたり、従業員にちょっかい出してくる困った客とか酔っ払いは山ほどいるし、人がよいからすけべじじいの相手をしてしまう従業員もいるし、彼女の味方をしてくれる従業員で子連れのDanyelle (Shayna McHayle) とかMaci (Haley Lu Richardson)とか、贔屓で来てくれる常連客もいるし、そういうのをいちいちぜんぶ相手にしているので忙しい。とにかくうちは家族で来て楽しめる明るいレストランでみんなに喜んで帰ってもらわないといけないんだから、っててきぱき働いて、更にちゃんと下の子たちには慕われてるし、まじで尊敬する。

その外側周辺には二言目にはクビをちらつかせるうざいボスがいて、別れを切り出してるのにうじうじ別れてくれない夫はめんどくさいし、ほぼたった一日の出来事を追っているだけなのに、Lisaは溜息ついて空を仰いでうんざりしながら大変そうで、”Support the Girls”ていうのは従業員やLisaだけでなく、同様に同様の問題を抱えて日々目をまわしているGirlsみんなのことなんだろうな、って。

で、あまりにいろんなことが勃発するのでLisaはもうやってられねえ、ってそこをあっさり辞めることにして、その後にライバル店の面接を受けにいくと、そこにはMaciとDanyelleもちゃっかり来ていて..  で3人で屋上にあがって … ここの流れは泣きたくなるくらいすばらしくて、マンブルコアでこれはないんじゃないか、ていうくらい素敵で感動的で、ここだけで大好きになる映画。”Skate Kitchen”のあの娘たちがテキサスで大きくなったらこんなふうになっていたのではないか、とか。

マンブルコアとか別にどうでもよいのだけど、確かになにも起こらないといえば起こらなくて、ただ「なにも起こらない」ということは例えばこんなにも些細で雑多に絡みあったいろんなことに支えられているのだだから黙っとけって、くだを巻く酔っ払いみたいに言ってみたくはなる。 同じようにここにはアメリカの地方のワーキングクラスのいろんな問題がそれこそFrederick Wiseman のドキュメンタリー並みにてんこ盛りにあると思うのだが、そういう「問題」たちもスルーして、ここまでミクロで細々としたいろんなコトやヒトをあらよって毛球にまとめあげて、最後にしんみりさせるのってすごいと思った。

Regina Hallさんを中心としたアンサンブルはすばらしく、よくあそこまでスポーツバー&その周辺に転がっていそうな連中集めたねえ、あれみんな役者? ていうくらい。

音楽はいろんなのがかかるのだが、どの曲もカーラジオで鳴っているようなしょぼい質感で、その現場のかんじもまたたまらない。

でも日本でこれやったらほんとにブラックでくすりとも笑えないやつになっちゃう気が..

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