20日土曜日の昼、CurzonのBloomsburyで見ました。
監督William McGregorのデビュー作で、昨年のトロント国際映画祭でお披露目されて、Gwenを演じたEleanor Worthington CoxさんはRising Star awardを受賞しているのだが、ものすごく地味で希望なんてかけらもない底辺系の英国映画なので日本公開はされないと思う、けどとてもよい映画だからー。
19世紀、産業革命の頃のウェールズの田舎(というあたりはどこにも出てこないので後から知った)にGwen (Eleanor Worthington Cox)と小さな妹と母のEllen (Maxine Peake)の3人が暮らしていて、かつて父がいて親子4人だった頃は楽しかった(この思い出が数回フラッシュバックされる)のに、出て行ってから母は子供たちにきつくあたったりするので、Gwenと妹はいつも固まって一緒にいる。
生活はずっと苦しくて畑で採れるお芋はあんまよくないし、野菜の行商に町にでてもさっぱり売れないし馬は事故で失ってしまうし、教会から戻ると羊の心臓がドアに打ちつけてあったり、夜中に羊たちがみんな殺されていたり、嫌がらせのようなことが続いて、どうも町の男たちが彼らの農地を狙っているらしいことがわかって、そんなときに母が痙攣の発作を起こして倒れて医者に来て貰うのだが薬を買うお金もないから..
といったこの先どうなっちゃうのさ、が主にGwenの目線で綴られて、よく扉の向こうにいる母は時々なにかに憑りつかれた魔物のように見えて(変貌して)しまうこともあって、こわいよう。
当時の貧困や困窮は子供たちの目から見るとこんなふうで、それはどこまでももやもやと暗く恐ろしく行き場がなくてどうすることもできない、というのが極めて具体的に描かれていて、でも医者はひょっとしたら善いひとかもしれないし、教会でたまに目があう男の子も助けてくれるかもしれないし、ひょっとしたら父親が帰ってきてくれるかもしれない、けどやはりぜんぶだめで。 母を頼ることもできずにそれらにまっすぐに立ち向かうGwenはそうするしかないから、という必死さを込めた静かな演技でこちらに迫ってくる。
ただ、結末までどこまでも暗く黒く塞がっているし、当時はこういうことってふつうにあったのだろうなー、て思うし、さらには現代の貧困だってこんなもんなのかも、とかいろいろ。 Gwenを演じたEleanor Worthington Coxのすべてを透過して見ているようないないような目の置き処がすべてで、そこに希望なんてないのだが、でも..
屋外は昼間ずっとどんより曇っていて夜は当然真っ暗で、屋内も蝋燭の光しかなくて、本当にとっても光量の少ない映画で、様式からするとゴス・ホラーのそれくらいと思うのだが、あれらよかよっぽど怖いかも。
終わって外に出たら眩しかった。冬に見たらきついかも。
7.26.2019
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