6月29日、土曜日の昼間、Picturehouse Centralで見ました。
客は10人くらい。公開直後でも昼間だとこんなもんよね。
英国では公開前からとっても話題になっていた監督Danny Boyle - 脚本Richard CurtisによるThe Beatlesが存在しなかったことになってしまった世界をめぐる音楽映画。
Jack Malik (Himesh Patel)はギター1本抱えたソロでマネージャーのEllie (Lily James)とふたりでどさ回りしてがんばっているのだがどうしようもなく売れなくて、ある晩自転車に乗って帰る途中、世界中の電気が忽然と消えた12秒間にバスと衝突して飛ばされて前歯2本折って入院して、回復祝いに新品のギター(前のは壊れちゃったので)を貰って、お礼に軽く”Yesterday”を弾いて歌うと、みんなが「なにそのいい曲?」て聞いてきて、なにってBeatlesだよ決まってんじゃん、と返しても「はぁ?」みたいな反応なのでおうち帰ってバンド名をGoogleしてみると昆虫しかでてこないし、John Paul Georgeで引いても法王しか出てこないし、どうもThe Beatlesというバンドも彼らの曲も今のこの世界には存在しないことになっているらしい。
いやいやいやとレコード棚を探しても彼らのレコードだけなくなっていて、Rolling StonesもBowieもいるのにBeatlesはいない、ちなみにOasisをGoogleしてみると彼らも出てこない(これはいいね)、さらにPepsiはあってもCokeはない、Cigaretteもない、Harry Potterも存在しないらしいことが後になってわかってくる。
それならば、とBeatlesの曲を片っ端からカバーして(コードとか歌詞とかぜんぶ頭の中にあったのか)録ったものを売り込んでみるとめちゃくちゃいい曲じゃん、て地元のTV局がかけてくれて、そしたらある晩、自宅にTVを見たというEd Sheeran (Ed Sheeran)が現れて、自分のツアーのサポートで一緒に来てくれないか、と言われ、ツアー先のモスクワでは異様に盛りあがり、そこからはLAのレコード会社のえらい人(Kate McKinnon)が現れて西海岸に来い、になって成功への階段を昇り始めるのだが、Ellieとの間は離れていっちゃうし、もともと自分の作った曲じゃないから後ろめたさもあるし、更にはJackの他にもThe Beatlesがいたことを知っている人たちがいるらしいことも見えてきて。
こういうお話しで誰もが思い浮かべそうなありがちな展開(夢オチとか)にはならなくて、まさしく”Love Actually” (2003)や”About Time” (2013)のRichard Curtisだなあ、と思って。 彼のお話しの決着のつけかたを御都合主義とか悪人いなさすぎとか言うひとには相変わらず、に映るのかもしれないが、いかにも英国的なずるずるしたやさしさと取ってもいいじゃん、って。”About Time”は、特定の登場人物が時間を自在に遡ってなにかできてしまう映画だったが、これは特定の集団記憶がごっそり抜け落ちたときにどんなことが起こるのか、についての映画で、”About Time”が主人公の行動を通して彼のことよりも父親や彼女(Rachel McAdams)のことをしんみり考えさせたように、これは自分にとってのThe Beatlesとかそれを一緒に聴いていた人たちのことを改めて考えさせる – だからとっても切なく悲しいお話しにすることもできたはずだ - そういう点ではよい映画だなー、って。
これはJackとEllieのラブストーリーが軸なのだが、同じ設定でバンド結成のストーリーを作ることもできるよね、とか、Harry Potterの設定貰って物語作る奴の話もできるよね、とか、こないだの”Avengers: Endgame”にもあった過去を多少いじったって今現在には影響を及ぼさない都合のよいストーリーテリングって、無責任にいろいろできておもしろいかも。
Jackがところどころやけくそになってギターいっちょうでパンクに繰り出すBeatlesナンバーが素敵だし、エンドロールでは本家のあの曲が堂々と鳴るのででっかい音のシアターで是非。あとこれ、Beatles的にはぜったいGeorge Harrisonのテーマだと思うのだが、もうちょっと彼のこととかさー。
田舎の教員で空き時間にバンドのマネージャーやっているそこらにとってもいそうなLily Jamesさんは文句なしに素敵。
Ed Sheeranはゲスト程度かと思ったら結構ストーリーに入りこんでいて、なかなかよいかんじだった。今後もコメディ出てほしい。(音楽あんま聴いたことないけど... ケチャップ買ってみようか)
どうでもいいけど、The Beatlesがいない、Cokeもない、Cigaretteもない世界の経済のありようってこれまでにこれらに費やされてきた規模総額から想像するとものすごいので、いまとぜんぜん違った風景になってしまう気がするんだけど。まあいいや、と。
週末はフランス程ではなかったけど気温があがって暑かったのであんま外に行かずにBBCでGlastonburyの中継をだらだら見ていた。やっぱしKylieが素敵すぎて、Nick Caveが出てきたときは、あーこないだのConversationsで「もうKylieとはやらないんですか?」の質問にごにょごにょ言っていたのはこれがあったからかー、って。 あと、Billie Eilish、とんでもなくすばらしかったねえ。
来年は行くぞ。(まだいたらな)
... そんなことよかJanet Weissさんの件が衝撃で、しばらくなんもしたくないかも。
7.01.2019
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