12.14.2017

[film] One False Move (1992)

3日、日曜日の夕方、BFIで見ました。 "Who Can You Trust?"シリーズからの1本。 35mm上映。

日本では未公開でDVDのみ、そのタイトルは『運命の銃爪』…  こーんなにおもしろいのにな。
製作は"I.R.S. Media"て出て、I.R.S.って、レコードだけじゃなくてこんな映画も作っていたんだよね。

LAで悪者3人組 - 粗野で短気なRay (Billy Bob Thornton)、その恋人のLila (Cynda Williams)、一見知的だけど実は一番凶暴なPluto (Michael Beach) - がある家を襲ってそこにいた一家友人一同を惨殺して現金とコカインを奪って車でHoustonの方に逃げる。
そしたらHoustonで落ち合うはずだった相手にすっぽかされたのでLilaはあきれて、もう抜けて実家に帰るから、ってひとりStar Cityに向かう。 のだがその時に強奪した金さらっていっちゃうの。

で、実はLilaがStar Cityに向かうかもしれないことは犯行前の現場のビデオに少しだけ残されていて、FBIがそこに向かって動きだすのだが、それで張り切っちゃったのが地元で退屈しててなんかでっかいことやりたくてたまらない駐在警官のDale 'Hurricane' Dixon (Bill Paxton)で、実際に地元で重大事件が起こったかのようにはしゃいで落ち着きなくなって、この流れだとこのとんちんかんな張り切り野郎がどたばたでたらめやって無事解決、みたいな方に行ってもおかしくないのだが、そうはいかない。

LilaがStar Cityに戻ってきてから隠れ家で再会(そう、再会になるの)したDaleとのやりとりと、Lilaを追ってきた悪党ふたりと、さらにそれを追うFBIと、全員がどこかしら抜けててまったくもう、なのだが物語としてはあれ以外の行きようはないのかもしれない、って。
LAとかHoustonの近辺をぐるぐる廻っていた輪がだんだんに縮まっていって、ああいう場所でしゅん、てなるのってなんかよいの。

これが80年代中頃に映画されたものであったら、Daleの弾けっぷりも、3人組の狼藉も、DaleとLilaの成り行きも、御都合主義の名のもと、程よく無責任に肯定されて適当なところに着地して、あーおもしろかった、で終わっていたのかもしれない。 Ray - Billy Bob Thornton(脚本も担当している)の救いようのない汚れっぷりも、Daleの弾けきれずに抑えこまれてしまう不機嫌さも気まずさも、Lilaのずるずるした諦めのわるさ、ゆえの生々しさも、どれも80年代の反動 - 90年代のリアル、みたいなところまで思い起こさせるあたり、狙ってはいないにしても、相当きちんと考えて作っているのではないか。

もちろん、そんなこと言ったって何も説明したことにはなっていないし、若い子にははあ? なのだろうけど、これってなんだろうなー、って。
例えばグランジが傷を、リアルをさらす、みたいなところに行って小汚いのが止まらなかったのはなんでなのか、フィルム・ノワールがなんでみんなあんなふうにみんな破滅していっちゃうのかとか、おもしろいねえ。

Bill PaxtonもBilly Bob Thorntonも90年代の顔だなあ、って。

結局、One False Moveってどこの、いつの、なんだったのか? (ぜんぶじゃ)(たとえば)

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