12.13.2017

[film] Love, Cecil (2017)

2日、土曜日の午後、Picturehouse Centralで見ました。 Cecil Beatonの評伝ドキュメンタリー。

むかしから、美術本や写真集の古本を漁るようになった頃からいちばん謎だったのがCecil Beatonの本て、どれもなんでみんなあんなに高額なのか、ていうことだった。始めはアメリカにいたから? とか思っていたがイギリスに来ても同様で、なんであんな女王陛下が写っていたりLife誌の表紙を飾ったようなポピュラーなやつらなのにびっくりするような値段なの? って。 最近ぽつぽついろんなアンソロジーが出始めたようなのでだんだんに下がっていったり復刊してくれたりすることを望む。

写真家でイラストレーターで映画や演劇のコスチュームやプロダクションデザインもやって、インテリアデザインもやって、要するにどんなものに対してもどんな状況にあっても、そこにある美と醜の間に明確に線を引いて嗅ぎわけて、最高に美しい状態にある何かを引き出したり浮かびあがらせたりすることができる名手で、自分にしかできないやりかたで自身の生活や人生をデザインした(ふつうはそうするよね、でも..)耽美家。

監督は、Lisa Immordino Vreeland - "Diana Vreeland: The Eye Has to Travel" (2011) とか、"Peggy Guggenheim: Art Addict" (2015) を撮っている人 - で、そうするとDiana Vreelandのことも必然的に頭に浮かぶ(彼女は03年生まれ、彼は04年生まれ)。 どちらも美に溺れてめろめろになりつつもそこにうずくまって絶望したり隠遁したりせずに、メジャーなところで自身の「眼」を惜しげもなくあれこれ晒して、美を愉しむこと、その愉しみかたを教えてくれたひと。 危険といったら危険、かもしれない。

映画は生前のインタビュー映像とDiaries(復刊してほしい)をRupert Everettが読みあげつつ、彼の生い立ちや家族のこと、Cambridgeでの目覚め、ガルボへの恋と失敗、 Kinmont Hoitsmaとの恋、写真家としての成功、などなどなど、いま手に入る資料はほぼ網羅しているかんじ。
関係者の証言としてはHamish Bowles、Leslie Caron (Gigi!)、David HockneyにDavid Baileyに。

びっくりするような未知の事実や事情が出てくるわけではなくて、既によく知っている彼の肖像 - ハンサムで、頭が切れて、ナルシストで辛辣で時として獰猛で - を折々の写真や映像と共に紹介していって、その像は整った彫刻のように揺るがないし、彼の多彩な活動の中心にある情動を”Love”と呼んでみることもできるに違いない。ものすごくよくできた、完成されたアイコン。

最後に出てくる白猫Timothyのエピソードだけどこかふつうの人ぽくて。

ドラマにするとしたらCecilを演じるのは誰になるだろう? Armie Hammer? かなあ。

Lisa Immordino Vreelandさんによる本 - *Love, Cecil: A Journey with Cecil Beaton*がABRAMSから出ているのを見つけた。映画にも出てきた資料も網羅した内容で、少し考える。

来年の七夕、The Cureの40th AnniversaryのHyde Parkが発表になった。 これは行かないとだねえ...

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