8.05.2015

[film] 怪談昇り竜 (1970)

あつすぎてなんもやるきにならん。

26日の日曜日、昼前に若尾文子の『青空娘』を見ようと新宿に行ったらとっくに売り切れていてあーあ、で、それならセイウチおやじかこっちか、と思って、渋谷に戻ってこっちを見た。どっちにしても青空は遠く、まともな道では生きられないんだわ。

特集『デビュー50周年記念 女優・梶芽衣子』からのいっぽん。

豪雨のなかの出入りで、関東立花一家二代目明美(梶芽衣子)が敵をばさばさ斬りまくっているうち、組長の妹・藍子(ホキ徳田)の目を斬っちゃって、その傷と血をぺろぺろする黒猫の悪夢を獄中で見て汗びっしょり、ていうのがオープニングで、出所して組を仕切るようになってからも、その呪いを裏付けるかのように敵対組とのごたごたのなかで子分達が変な死に方をしていって、だんだん陰謀策謀込みでじわじわ追い詰められていって、やがて敵対組の嫌がらせが叔父(加藤嘉)にまで及んだのにぶち切れて、いくぜ野郎共! おぉー!! になるのだが、敵方には相手組のどす黒い奴らだけじゃなくて、盲目の剣士となって蘇った藍子もいて命を取りにくるし、呪いとか化け猫とかワンピースを着たせむしの土方巽とかうじゃうじゃいっぱい出てくるので大変で、でも背中の竜の刺青にかけてがんばるの。

怪談で、任侠で、妄執・異形の人々たっぷりで、でもグロいだけのとっちらかったどたばたにならなかったのは真ん中に互いの敵としてある明美と藍子のつーんとしたクールさがあるからで、ていうかこのふたりのそういう落ち着いた、研ぎ澄まされた殺気があるが故に、周囲の異形・異物感 - お呼びじゃない感が際立ってすごいのだった。 でもさあ、ふたりともこんなに一途でまじめなのに、なんでやくざの世界で対決してるのかしら?  ていう因果とか。

それにしても、梶芽衣子 - ホキ徳田 - 加藤嘉 - 土方巽ていう、ちょっとアングラだけどインターナショナルな面子のすごいことかっこいいこと。 こういうのこそクールジャパンで売れるし売るべきなのよね。

獄中で契った立花一家の義姉妹さんたちが背中に竜の胴体の刺青して(頭のとこは明美姐さん)、並ぶと一匹の大蛇にみえて、慌ただしい出入りの最中にいちいち整列して隊列をキープするとこが素敵だった。 彼女たちは戦いながらチアして、しかもカメラに背中もみせなきゃいけないから偉いなあ、て。

というわけで、「怪談」なのになんか縁起と威勢がよいかんじがしたの。

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