15日の夕方、六本木でみました。 Antonio Lópezと同じ地球上のなにかを描いたもの、とはとても思えなかった。
すばらしいー。 問答無用てのはこのこと。
田舎でくすぶっている女の子4人が、お金ないけどお金(強盗して)つくって、Spring Breakのお祭りに出かけて、どんちゃん騒いでいたらガサ入れにあって捕まって、保釈金払ってくれた男(James Franco)の世話になるのだが、ひとりはこんなとこにいたくない、てべそかいて帰っちゃって(ほんとにやりそう、Selena Gomez)、もうひとりは男の敵対するやくざの流れ弾にあたって怪我して帰っちゃって、残ったふたり(と男一匹)で殴りこみをかける。 お話しとしてはそれだけなの。 これで94分もある、てのは驚異的。
作家性もくそもない(そんなもんいらねえ)、女の子さいこうー! ビキニさいこうー! て叫びながら写真をとりまくるカメラマンみたいなかんじでらりらりやっているだけで、それ以上でもそれ以下でもなくて、でもそれゆえに、の力強さったらないの。
ガレージでの一発撮り、延々続くやめられないとまらないシンセのリフ、あえてエロもドラッグも排して、これらが見事にいちいちはまってくるので、惚れ惚れするしかない。
前半の喧騒、いけいけから逮捕後の、パーティの後のちょっとひんやり後ろめたいかんじを経由して、3人は敵方に殴り込みをかける。 ちょうど朝昼 ~ 夕方 ~ 夜、の流れになっている。 夕暮れ ~ 夜への流れが特によくて画面も美しくて、ちっくしょううーこんのやろーぶっころしたる!のような野郎の歯ぎしりはぜんぜんなくて、どうせ明日は来ない、みたいな絶望も諦念もなくて、ラス・メイヤー的なぶりぶりと居直る体脂肪もなくて、冒頭のファミレスへの強盗みたいにちゃきちゃきと片付けてしまう。 クールだよねえ。
90年代のMTVで、"MTV Spring Break"ていう番組があって(まだあるのか …)、ただただSpring Breakのパーティだのライブだのをだらだら垂れ流しているだけだったのだが、それを思いだした。 あのバカらしくも幸福な騒ぎを蹴散らしたのが、映画だと例えば『ピラニア 3D』だったりしたわけだが、こんどのかっこよさときたら決定版。
でもこれはやくざ映画でも犯罪映画でもなくて、びっくりするくらい爽快で気持ちよく軽やかな女の子映画であって、気にくわないやつはぜんぶぶっころせ、とは言わないが、浮き輪のかわりに銃を抱えてプールサイドすたすた小走りしていくあのかっこよさを女の子みんなに見てほしい。
James Francoはああいう結末になって幸せだったのだろうか、と少しだけおもう。 のら猫を飼いならそうと思ったら思わぬ方向に転がっていって、まさか。
でもあれはみんなが思うことだろうが、Harmony Korine自身のなりたい姿、でもあるのだろうな。
そうだよねえ。いいよねえ ...(遠い目)
6.24.2013
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