NYの57th & 5thにある老舗デパート、Bergdorf Goodmanに関するドキュメンタリー。
その成り立ちと歴史から、なんでここがNYのNo1デパートで、多くのデザイナーやセレブにとっての憧れの売り場/買い場であり、コアな客にとっては「死んだらここに遺灰を撒いてほしい」とまで言わせてしまうくらい特別な場所であるのか、をいろんな証言と共に紹介していく。
こないだようやく日本でも公開された"Bill Cunningham New York"が、NYのファッションが街に溢れでていくその様(Out)を記録したものだとしたら、こちらはNYのファッションが街に流れこんでいくおおもとにある特大のクローゼット(In)としてのデパートを描こうとした、というか。
デパートといったらデパ地下と催事場、程度の意識しかない日本の自分にとって、Bergdorfというのはデパートを遙かに超えた特別な場所で、あの薄紫の包装紙を見ただけでなんか興奮するし、それはBarneys New YorkとかBloomingdale'sといった他のデパートともはっきりと違っていて、ここに行くときにはちゃんとした格好をしないといけないし、行ったあとは緊張のあとの疲れがきたりする。
服飾の美術館・博物館にいくかんじ、に近いのかもしれないが、やっぱりそれよかぴりぴりするし、でも美しいものを見たり触ったりできる、という快感には替えられなくて、このデパートにはそれがある。 買えるものなんてほとんどないし、見ているだけで溜息ばかり、でもその溜息と一緒に美の意匠を呼吸しているんだとおもう。
映画は、何人かのデザイナー、セレブ、ファッションエディター、店内のBuyer、Personal Shopper、クリスマス用のウィンドウをつくるひと、などの証言や逸話を紹介しつつ、斜め向かいのTiffanyと同様、NYのお店のなかで神話化・特権化されてきたその理由とか背景とかがいろいろわかって勉強になる。
すんごくおもしろいのだけど、デパートとかお買いものとかファッションに興味ないひとには、ぜーんぜんおもしろくもなんともないだろうな。
場と歴史のところ以外だと、ここで働いているひと達も楽しくて、特にNo1 Personal Shopperだというおばあさん、Bill Cunninghamも変なおじいさんだったが、このおばあさんもそうで、まるで魔法使いのように見える。
クリスマスディスプレイの準備のところ、Barneys New York(Simon Doonan)のがポップでモダンで有名かもしれないが、ここの、どこまで行っても重厚で鉄板でクラシックなのも好き。
あの備品倉庫、入りこんでみたいー。
むかしいちど、5Fのフロア(カジュアル系のとこ)をうろうろしていたら、Cherがお買いものに現れたことがあった。 降臨、てかんじのオーラで場を圧倒して、蝶のようにひらひら優雅で、売り子さんも含めて全員凍りついて見守ったものだったが、それを思いだしたとこでCherが画面にでてきたので笑った。
靴のフロア(2F, 5F)を外せないことは承知しているが、7Fのインテリア・雑貨のところも捨てがたい。今はレストランが入って少し狭くなってしまったが、昔はアンティークのお店が入っていて、変てこなものがいっぱい置いてあって、楽しかったんだよねー。
とか、べったべたにOld New Yorkを回顧しているばっかしの映画、たまにはこういうのもいいかも。
NYで見た映画はここまで。
時間があれば、Film Forumでの"Hannah Arendt"と"The Avengers"のJoss Whedonによる"Much Ado About Nothing" (シェークスピア!)も見たかったのだが、しょうがないものはしょうがないや。
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