というわけで、土曜日のいちばんで見にいきました。
http://www.strangepowersfilm.com/
たしか6月くらいにBrooklynのBellhouseで一回だけ上映があって、ぜんぜん行けなくてあーあ、だったのだが、USの映画館上映を最初にやってくれたのがなんとFilm Forumだった。 どんだけすばらしいのここは。
The Magnetic Fieldsのドキュメンタリー。 バンド名の時点で半分以上のひとが興味を失い、ドキュメンタリー、というとこでその二分の一がどっかに行ってしまう、そんな作品かもしれないが、それでも残りの1000人くらいは死ぬほど見たいとざわざわしっぱなしだったのである。
映画はほんとうに地味に普通に、しかし愛を込めて謎に包まれていた(そうでもないか)Stephin Merrittの日々の生活と生態を追っていく。
別に驚愕の事実とか家族の秘密とかが浮かび上がるわけでまったくなく、唯一のびっくりは映画の終わりのほうでNYからLAに移住してしまったことくらいなのだが、それ以外は、チワワと暮らし、レコーディングは全部自身のアパートのスタジオで行い、自転車でヴィレッジ界隈を走りまわって(自転車だよねえやっぱし)、Film Forumに通ったりする、ごくごく普通のアーチストの肖像がここにはあった。
そしてだからこその、あのMagnetic Fieldsの歌詞であり歌であり、それを、その驚異を"Strange Powers"と呼ぶことになんの異議も異論もない。
そう、リリースされてから既に10年を過ぎた"69 Love Songs"の言いようのない深さと美しさ、その謎は未だに我々を困惑のなかに落としいれる。音楽自体が愛の網目となって我々を金縛りにする。
(ちょっとおおげさか)
そんな世界のはじっこを果敢に捉えようとしてみた映画なの。
日本で上映しても初日に100人きておわり、だろうな。
最初に出てくるコメンテーターがPeter Gabrielさん、続いて、へ?みたいなかんじだが妙に納得できるSarah Silvermanさん、どちらもベタ褒め。
他に登場するのはSuperchunkのLaura Ballanceさん、Sleater-KinneyのCarrie Brownsteinさん、とか。
彼女たちがStephinの音楽を好きだ、というのはなんだかとてもよくわかる。
LAへの移住については、映画音楽の世界にシフトする、ということだとおもうが、うまくいってほしい、と切に願う。
このひとは、冗談ではなく、George Gershwin - Cole Porter - Burt Bacharach - Randy Newman の系譜に連なる、偉大なアメリカのソングライターのひとりなのだから。
そしてたとえ彼がLAに行ってしまっても、音楽もバンドも変わることはなく、"All Our Friends Are in New York" - Other Musicでやっている展示 - なのである。うんうん。
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