土曜日、54年のイタリア映画のあとで、ヴィレッジのIFCに移動してとっても現代アメリカした映画を見る。
現在24歳(映画出演時には22歳)のLena Dunham監督、主演、原作、による"Tiny Furniture"。 映画のサイトはこちら。
この映画で2010 South By Southwest Narrative Feature Film Award ていうのと the 2010 Chicken & Egg Emergent Narrative Woman Director Award (←なんだろね) ていうのを受賞している。
本人が主演している他に、実の母親も妹もそのままの役で出演している。でも名前は変えているので、リアル家族-お茶の間ドラマ、ではない。 はず。
実の母親はアーティストのLaurie Simmonsさん。 彼女のサイトを見ればああこのひとか、とわかるひともいることでしょう。
”Tiny Furniture”というのは、母親が自身のアート写真用に作成する小さなオブジェ(その撮影場面もでてくる)のことでもあるし、彼女が母親のスタジオ兼住居のなかで迷って途方に暮れる「大きな家具」-白いキャビネット棚、との対比としてもある、のだとおもう。
(あるいは、この映画自体も母親のプロジェクトの一環、として考えることにそんな違和感はないかも)
22歳のAura(監督本人)はカレッジを卒業して彼とも別れて、NYの母親の住処に戻ってきたのだが、母親は仕事で忙しいし、妹は詩のコンテストで賞貰ったりして優秀で、自分の居場所がない。飼ってた白ねずみはしんじゃうし。 レストランの予約受付のようなバイトをしたり、変な人たちと知りあって家に泊めてあげたり、つきあってみたりするが、長続きしない。 あたしのあしたはどっちだ。
で、この映画のコピーにあるように
"AURA WOULD LIKE YOU TO KNOW THAT SHE'S HAVING A VERY VERY HARD TIME"
と大文字のフォント(大)でわめいてみたりするものの、ふうん、みたいな反応しか返ってこない。
そんな、極めてオフビートな日々がAuraの仏頂面とトドみたいな体型と一緒に綴られているだけなのだが、なんかおかしい。 ものすごくおかしい。
この映画、Mumblecoreの流れに位置付けられるのかもしれないし、Wikiの同映画リストにも入っていたりするのだが、Mumblecoreの映画をちゃんと見たことがないのでなんとも言えない。
でも、例えば、"Greenberg"のかんじには近いことはわかる。
本人はうにゃうにゃあぷあぷしてて大変で全身パニックおこしているのに、周囲はぜんぜん気にしてなくて、がんばってくれたまえ、みたいな冷たさ。 そしてそれがぜんぜんかわいそうにみえない悲劇というか喜劇というか。
こんな内輪受けに終始するような映画を作ってなにが楽しいのか、という意見は当然でるとおもうが、ようく見てみれば内輪のジャーゴンは極力排していることや、カメラの配置やクローズアップの角度に細心の注意を払っていることがわかるはず。
リアリティTVの小汚い画面作りとはぜんぜんちがう。
むしろ、リアル家族や友達を使って撮るからこそ、そういう要素は周到に排除した。
結果として、家族との会話や動作のほんとにおかしなコア(しかもそれが延々繰り返される)、みたいなとこが浮きぼりになった、と見るのが正しいのではないか。
いや、まあ、なにが正しいとかそんなことよりも、ふつうにおかしいの。
Auraが眉と顔をしかめてごにょごにょ言っているだけで、あんたおもしろいよ、って。 (動物をみてるかんじに近いかも)
たぶん、何がリアルか、とか、何を伝えたいのか、とか、そういう教科書的なアプローチから離れたところで、これってなんか変だよねえ、と撮っていったらこんなかんじになってしまったのではないか。
そしてこれが、これが起こる場所が、ロンドンであるかもだし、東京であるかもなのだが、そんなのはどうでもいいよ、いまここで起こっていることがこれだ! みろ! みたいなそういうお手軽にちゃかちゃかしたとこもいいかも。
Miranda July の映画(が最初に公開されたのもここIFCだったな)が日本で公開されたのであれば、これも公開されたっていいはず。 されてほしい。
あと、IMDbにあったこれ(↓)すごく気になる。
Untitled Judd Apatow/Lena Dunham Project (TV movie)
11.30.2010
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