11.22.2010

[film] The Apple (1980)

土曜の晩11時から、今回のCannonまつりの目玉。 "The Apple"。

こんな映画があったなんてしらなかった。 
しょうげきだった。 「しょうげき」以外に言葉をしらぬ。

"Runaway Train"が終って出てみると、いつもはしょぼくれた客達が人生に疲れて並んでいる待合室がディスコになっていた。みんな楽しそうに食べたり飲んだりしている。 
例えばですね、京橋のNFCの待合室がそうなったとこを想像してみ。

Bronski Beatなんて20年ぶりくらいに聞いたわ。

みんなほっぺやおでこにBIMのシールを貼ってて、つまりはそれが、この映画の信者である証なのだった。 

11時に開場してからもお祭りで、監督とプロデューサー(さっきのふたりね)の挨拶と、主演女優であるCatherine Mary Stewartさんが登場する。(下の写真)

Catherineさん、59年(西暦だよ)生まれとは思えないくらい若い。

そうか、あなた"The Last Starfighter" (1984)に出てたひとなのね。
(アーケードゲームで最高点だしたらそいつが宇宙に繋がってて、そのまま宇宙に拉致されて戦争にまきこまれるの。宇宙人の師はしんじゃうんだけど、死ははじまりである、とかわけわかんないこというの…   しってるひとー?)

あとはお楽しみくじびきもあって、番号ひとつ違いで逃した。
でも賞品はBIMのTシャツと映画のDVDと映画のサントラをCDに落としたやつ(手焼きです…)とか、それならあんまうれしくないかも。

この映画の思い出について監督自身が語ったところによると、モントリオールの映画祭で上映したら客のほとんどがばらばら帰っちゃって、監督はショックを受けて途中でホテルの部屋に戻って、部屋から飛び下りようと考えたのだという。

そんなの上映する前にわかれよ、誰かとめろよ、って話なのだが、まあ、モントリオールの客の気持ちもよくわかるわ。 

80年にオーウェルの1984寄りのネタは、完全にうるせえ、でアウトだったし、60年代ヒッピー難民も出てけ、だったのである。

しかし今見てみると、Austin PowersやZoolanderよか20年早かった、というのがわかるし、"Glee"みたいなのがはやるパワーバラード全盛の時代(やれやれいいかげんにしとくれよ)にぴったりだ、というのがわかる。 あんまわかりたくもないけど、とりあえずはわかる。 長生きはしてみるもんじゃのー。

こうしてヴィレッジで上映会がはじまってだんだんに信者の数が増えていって、いまでは立派なカルト作品に認定されましたとさ。

世にあるカルトなんて大抵そんなもんさ、なんて言わないで。
すでに日曜の夜遅いのだが、がんばって筋を書いてみよう。

舞台は1994年(ものすごく微妙かつ絶妙)。BIMっていう組織だか団体だかなんだかが社会の表も裏も支配してて、音楽とかもBIM認定のBIM Musicっていうのがメジャーなの。
大衆もみんなBIMを求めてて、なんでも「BIM! BIM!」なの。

そんななか、ソングコンテストにでてきたアルフィー&ビビのコンビの歌がみんなを泣かせて、それが気に障ったBIMの親玉が彼らを利用しようとビビを拉致してBIMのシンガーにするの。

でもアルフィーは負けずにビビの愛を勝ちとろうとひとりでがんばるの。

ばからしくなってきたからもういいや…

でもね。音楽(曲も歌いっぷりも)とかダンス(振りもコンビネーションも)のクオリティはなかなかなのよ。 カメラも的確に動いていくし。
ファッションとか未来社会のセットはとんねるずに出てくるやつみたいにひどいけど、「ロックオペラ」(=監督談)としてはちゃんとしている。
これで一曲でも、アバ並みのキャッチーな曲があったらなあ。

まあね、グランジがなかったら94年の社会と音楽はほんとにあんなだったかもしれないからね。きっと。

アルフィーの顔がねえ、リチャード・マークスとウィル・ファレルを足して2で割ったみたいな、しかも胸毛やろうでさあ。 ついぷぷ、ってふいちゃうのよね。

客席はぶいぶいに盛り上がっていた。ゲイの皆さんが多いような気がしたが、みんな爽やかに楽しんでいた。 後楽園の「ロッキーホラーショー」よか軽くてたのしかったよ。

日本でこいつを上映できるのはシネマヴェーラしかない!
"The Gang's All Here" (1943) - バナナ!とこれの2本立てで一週間やってほしい。

上映後、主演女優のひとがまだ残っていた。ほんとに歌ってるの? って聞かれて、やーねえ、歌ってなんかないわよ、てさばさば答えてた。 いいひとだ。

出口でBIMシール配ってたのを貰う。 どこに貼ろうか考えちゅう。

こんど暇になったら、80年にPILの2ndやJDの"Unknown Pleasure"ではなく、先にこの映画に出会っていたらその後のじんせいどうなっていたか想像してみよう、とちょっとだけ思ったけど、やっぱしやめた。

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