6.18.2021

[film] Bernice Bobs Her Hair (1976)

6月12日、土曜日の昼、Metrographのバーチャルで見ました。

TV局PBSの”The American Short Story”というシリーズの一編として制作・放映された45分の作品。原作はF. Scott Fitzgeraldの1920年に出版された短編集 - ”Flappers and Philosophers”に収録されている同名の短編(未読)。

監督はローカル紙編集部の面白い群像ドラマ - ”Between the Lines” (1977)や素敵なromcom – “Crossing Delancey” (1988)を撮ったJoan Micklin Silverで、彼女の娘さんのMarisa Silver - 彼女も映画作家 – による簡単なイントロがあった。

あんましいけてなくて本人もそれをわかっているBernice (Shelley Duvall)が従姉でフラッパーのMarjorie (Veronica Cartwright)のところに滞在して、いろんな社交の場でイェールやプリンストンあたりから休暇で戻ってきた若い男子に囲まれてダンスも会話も上々で鼻高々のMarjorieに対してBerniceはなにをどうやっても空振りばかりでうまくいかなくて、どうしたらそんなに人気者になれるの? って聞くと、いじわるでBereniceを蔑んでいるMarjorieは髪をボブにしてみたらいいわよ、って返して、それは罠だ、って自分でも思うものの意地もあるので周囲にそれを宣言しちゃって、男子とかもいる前で床屋にいって、ばっさりやってもらう。そうしたら…

田舎のお屋敷にいてちやほやされてきた女子とその田舎より更に田舎からやってきた世間知らずの女子と、それに絡む都会の青年たちの織りなすドラマ、というほどのものでもない他愛のないスケッチ、なのだが、Bereniceに絡んでくる青年 – Warren (Bud Cort)が、19歳なのにもう年を取りすぎたって嘆いている男の子で、Shelley DuvallとBud Cortといったら”Brewster McCloud” (1970) - 『バード★シット』のふたりで、彼らが第一次大戦後のアメリカの女子・男子のコスチュームドラマをやっていて、しかもメインはShelley Duvallの方だから - それだけ、見ているだけでたまんないものがある。

終盤、あったまにきて大きなハサミを手にしたBerniceがMarjorieの寝室に忍びこんで復讐して旅立つところは照明とかテンポがすばらしくよいの。原作のストーリーは19歳だったFitzgeraldが14歳の妹Annabelに宛てて書いた長文の手紙 - 会話とかマナーとか服装に関するアドバイス – が元になっているそうで、そういう文脈で書かれた原作とはメッセージのありようも受け取り方も少し異なっているのかもしれないけど、これはこれでー。

例えば、いま現代においてこのお話、特にBereniceについてどんなことを言うかというと、The Divine Comedyが1993年の文芸アルバム”Liberation” - 他にはチェーホフとかE. M. ForsterとかWordsworthとか - のなかに”Bernice Bobs Her Hair”ていう曲があって、そのなかで”Why should I let you walk all over me?” って歌っていたりする。


ここ一年くらい、一日1本、ストリーミングで映画をみて、少し前に見たやつの感想を書いて、というのをほぼ日課のようにやってきて、帰国してからも続けようと思ったのだが、週3日くらい通勤を始めるようになったら(だって来いっていうから)それだけでとてつもない疲労と倦怠感に襲われて通勤の日は帰宅するなり目を回してばたんきゅーになってしまった。英国に行く前(2017年より前)はどうやって時間を作っていたのか思い出すことすらできない。 年をとったからとかそもそもがいやいや園だとか、いろいろあるのだろうが、無理しないでてきとうにやることにした。もっといっぱい書きたいのになあー。 とにかく、自分の仕事はてきとうに選んじゃあかん、てことに尽きるのね。
 

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