6月13日、日曜日の晩、これもMetrographのバーチャルで見ました。
前日に見た”Bernice Bobs Her Hair” (1976)の監督のJoan Micklin Silverの娘さんのMarisa Silverが22歳のときに書いて作ったデビュー作。プロデュースを姉(or 妹)のDina Silverがやっていて、その年のSundanceでドラマ部門のGrand Jury Prizeを受賞している。邦題は『オールド・イナフ/としごろ』... 日本公開されていたのね?
冒頭、”Bernice Bobs Her Hair”の時と同じように監督のMarisa Silverさんが出てきてイントロをする。母が映画監督だったので、小さい頃から映画を作る道具や環境が家にふつうにあり、姉とふたりでままごとのようにそれらを使って遊んでいたので、映画の世界に入る難しさのようなものはあまりなかったかも知れない。映画に出てくれた俳優さんも母の知り合いでヴィレッジ界隈で演劇をやっていたサークルの人達だったし。撮影のMichael Ballhausだけはずっと憧れで、ドイツに行った時に頼んだら時間が空いたら来る、と言って、そしたら本当に参加してくれたので感激した - 彼にはいろんなことを教わった、などなど。
あと、2018年にこの作品がMetrograpghで上映された際、”Eighth Grade” (2018)の監督のBo Burnhamさんがこの作品を紹介していて、その際のコメントはMetrographのサイトで読むことができる。”Eighth Grade” – 確かにちょっと近いかも。”Eighth Grade”で主人公のパパを演じていたJosh Hamiltonは、この”Old Enough”が役者デビュー(当時10歳、でも画面には現れず..)だったとか。
New York - 監督はQueensって言ってたけどどうだろう? Brooklynぽくない?- に暮らす11歳と3/4のLonnie (Sarah Boyd)がいて、ぱりっとモダンな4階まであるタウンハウスに両親と妹(まだ6歳のAlyssa Milano)とメイドと暮らしていて、自分たちが上流であることもわかっているし生活に過不足はないものの、なんかどんよりしていて、そんなある日、道端で遊んでいる子供たちの間にいた14歳のKaren (Rainbow Harvest – なんてかっこいい名前!)と出会う。彼女の面構えとかいでたちにぽーっとなったLonnieは彼女にくっついて化粧品の万引きしたり、メイクを教わったり、キャンプをさぼって一緒に過ごしたり、教会に行ったりいろんな経験をしていく。
Lonnieの家と比べると金銭的な豊かさではKarenの家は下の方で、彼女の父はDanny Aielloで、兄のJohnny (Neill Barry)はちょっとかっこよくて、でもそんなギャップはどうでもよい、というか自分の家に対するのと同様、Lonnieにはあまり見えていない。
“Old Enough”というとき、それは親が子供に対していうこともあれば、子供が自分に対していうこともあれば、親のそういう目線に対する反発のように浮かぶものでもある、この線 – “Eighth Grade”ではタイトルがまさにそれだった- を巡る終わりのない攻防、というかどこまでもつきまとってくる縛り(?)に対するぐじゃぐじゃした思いが生々しい。
そしてこの”Old Enough”という問いは決して彼女たちだけのものではあるまい。このどこからやってくるのかわからない解しと縛りのめくるめく(しょうもない)ドラマは、やがて老いて死ぬ存在であるヒトの根幹どこにでも刺さってくる命題、のような気もする。じゃなかったらなんでこんなにしみるのか。
高低差をうまく活かして落ち着いた(クールな)Michael Ballhausのカメラとか、女の子ふたりのじたばたなのでÉric Rohmerの「レネットとミラベル」を思い浮かべたりもして - Julian Marshallによるエセエレクトロみたいな音楽も含め - でもそれでもヨーロッパのかんじはしない、やはり全体としてはNYのお話だなあ、って思った。”Little Fugitive” (1953)のような肌触りも。
こないだのRSD Dropのオンラインで買ったWarpaintのデビュー盤 - “The Fool”のAndrew Weatherall Remixesが来て、聴いてみたら、なんかたまらなくよくて。10年前のだし、アメリカのバンドなのに、なんでこんなに.. (英国) って。 あーほんとしみじみライブ行きたい。あんなくそなオリンピック1回なくせば10000回くらいライブができてみーんな幸せになれるのに。
6.18.2021
[film] Old Enough (1984)
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