31日の金曜日の晩、眠くてだるくてしょうもないのでしゃっきりさせるべく(だから早く帰ってねろって)、SOHOのCurzonでみました。
ついこないだ"High-Rise"(2015)を見たばかりの気もするBen Wheatleyの新作。
製作にMartin Scorseseが入っている。いかにもなかんじ。
筋はシンプル - いやほんとうはシンプルじゃないのかもしれないけど、最初のほうのやりとりって何喋ってるのか半分くらいしかわかんねーの - で、鉄砲(マシンガン)の闇取引に倉庫にやってきたふたつ(or more)の勢力があって、頼んでいたのと違うじゃねーか / これしかねえんだ嫌ならかえれ、の小競り合いがあって、更に前の晩に諍い起こしたふたりがばったりして、さらに摩擦がひろがり火花が起こり、単細胞なやつが思わず発砲しちゃったことから撃ちあいになって、更にどこの誰が頼んだのか外から狙撃屋まであらわれて撃ちはじめたもんだから収拾不能になっていくの。
全員が(なに言ってるかわからんが)口だけは達者で、相手が死ぬまでやらないと我慢できないような単細胞連中で、しかもものすごい強者、悪者、銃の達人みたいのがいない、でどうなるかというと、撃ち合いはしても弾が命中しないで壁とか杭とかに跳ね返って腕とか足とか中途半端な部位に掠ったり当たったりで、半端に痛かったり血まみれになったり、そうなると余計にぎゃーぎゃーわめきちらしてあいつぜったい許さねえ殺す、みたいに、バカボンのおまわりさんみたいに興奮して撃ちまくるのだが、やればやるほど弾は逸れて痛いところにばかり着弾して全員芋虫みたいになっていくの。 幸いなことに事前準備も含めて銃器はたんまり持っているし隠れる場所もいっぱいある。 よくないのはやたらと外れ弾流れ弾が跳ね返ってくるのでどこからなにが飛んでくるかわからないことよ。
"High-Rise"でも最初は小奇麗にかましてた連中がだんだんSM的な加虐・被虐の攻防のなかで血にまみれて本性を剥いて剥かれていく、原作のテーマ本筋よりもそのプロセスとか痛みを露わにするほうにこの監督の興味嗜好はあったのではと思ったのだが、であるとしたら正に本領発揮なのではないか、と思われるくらいに勢い(だけ)があっておもしろい。 "Low-Rise"というか、このシチュエーションだといくらでもアイデアが湧いてでたのではないかしら。
たとえばタランティーノだったら、もうちょっとキャラクターをしっかり彫りこんで仁義とか復讐とか怒りとか痛みや血量に見合う同等のなんかを真ん中にぶっとく据えてくると思うのだが、こっちのはとっても軽くて、全員がヒラのちんぴらみたいのでべらべら適当な言葉を散らしつつ致命傷にはならない刺し傷切り傷の山を築いていく。 これもじゅうぶんありなんだよね。 やくざがみんなSamuel L. JacksonとかTim Rothであるわけないし。
まんなかくらいまではばかじゃのーとかけらけら笑いながら見ていられるのだが、だんだんこれ、どうやって決着つけるつもりなんだろ、になってきて、でももちろん決着、というか終わりはくるの。 だいたい思っていたとおりになっちゃうのだが。
全員が小物(でもキャラクターの描きわけはしっかりしてておもしろい)で、そんななか俳優として唯一突出している(かつ紅一点の)Brie Larsonさんはがんばっているけど、ものすごく活躍するわけでもなくて、そういう置きかたもこの映画に関してはよかったかも。
音楽はなんといってもJohn Denverの「緑の風のアニー」ですよ。
ぐるぐるまわるんだよこいつ。
4.04.2017
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