4.29.2017

[art] Vermeer and the Masters of Genre Painting

15〜16日にパリに行ったときの美術館とかを。

15日、電車でパリに着いてホテルには10時くらいにチェックインすることができて、これのチケットは11:30の枠を取っていたので余裕と思って行ったら広場ぜんぶに延々のびたすごい行列があって、並ぶしかないのか… と思って並んでみたのだがぜんぜん列は進まずに1時間が過ぎてしまい、これは見れないかもねえ、とゲートが見えてきたあたりでため息ついたら、チケットを持っているひとは別の入り口からすいすい入っていることがわかって、ばかばかばかのおーばか、って自分を罵りつつ中に入って見ることができた。

Vermeer and the Masters of Genre Painting  - 「Vermeerとジャンル絵画の巨匠たち」

Vermeerは気が狂うくらいに好き、というわけでもないのだが、どこかでやっているのでれば見る(日本ではもう見たくないけど)。90年代にあったWashingtonのNational Galleryでの大回顧展を現地まで行きながら見逃した恨みもあるけど、単にきれいだから。 絵画というのは350年くらい過ぎても、こんなにもきれいに輝いているのだなあ、って。 そしてその美しさは画集とかでは無理で生の目玉でみて始めてわかるものなのだ、と。

舞踏会とか楽器とか読書とか手紙とか学問とか、そういう四角の枠で切り取られたテーマ、シチュエーションで、それぞれの役割に応じて(やや過剰な)振り・動きや表情を浮かべる人々がうじゃうじゃ出てくる。 Vermeerを含むオランダの同時代の画家達の作品が沢山並んでいて、こういう中に置いてみるとVermeerは案外ふつう… なんかではやはりないの。どう見ても他の「巨匠たち」とはぜんぜん違うのよね。

「天文学者」と「地理学者」が並んでいるところとか、たまんなかった。

カタログ、どうしようか悩んで結局買わなかった。Vermeerは直接みるのに限るし。また旅をすればいいし。

Valentin de Boulogne: Beyond Caravaggio

Vermeerの隣でやっていた企画展。こちらも17世紀の、でもフランスの画家。Caravaggioの様式やテーマを継ぐ作家、ということで明暗のくっきりしたすごい顔した人たちが蠢く大判絵画がどかどかと並んでいるのだが、ちょっと前、ほんの50m向こうのほうでジャンル絵画のややちんまい、でも居心地よい世界に浸かってしまったあとで神話に地獄に天罰におお神よ、みたいなやたらドラマチックな世界に来てみると、なんか同じ世界で起こったことを描いているものとはとても思えなくて。
でも贔屓したいのはわかるけど”Beyond”はきついかも。Caravaggioの屹立する偉大さが際立ってみえるばかりなのだった。

で、美術館の外に出てから常設のほうを見るのわすれたことに気づいた…

Cy Twombly

The Centre Pompidouに行ったのは始めてて、チケット買っていなかったのでこれも中に入るまでに1時間くらい並んだ。

没後の大回顧で、色のついた絵、線のぐるぐるぐしゃぐしゃ、写真から彫刻までなんでも。
どれも乾いてすりきれていて、かさぶたか、かさぶたが剥がれてきれいな肌がのぞく直前か、かさぶたが剥がれそうだったので引っ掻いたらぐだぐだになってしまった、みたいな絵たちだと思った。
でもそのかさぶたの裏側にあるのはとても静かな石膏の肌のように滑らかな肌理の表面で、原美術館のときにも思ったが、彼の作品を連続して見ていくと絵の向こうからそういう静謐さとか落ち着きがやってくる。 モランディの世界に近いような。
あと、彼の写真も素敵だよね。 ああいうふうに世界を切り取るひとが、ああいう絵画に向かう。

英語版のカタログかった。

Josef Koudelka: La fabrique d'Exils

Pompidouの地下の写真のところでやってた。 昨年、Koudelkaはここに"Exils"の75枚を寄贈したそうなのだが、そのうちの35枚と、あとは同時期に撮られたアウトテイクスとか、旅日記のように纏められたスナップとか、こないだ彼のドキュメンタリー映画を見ていたので、そうなんだろうなー、と。

常設展示は走り抜けた程度。 デュシャンの便器アーカイブのコーナーにはデュシャン関連の世界中の本を纏めたライブラリがあって持ってるのが4冊くらいあった。

Rodin : The Centennial Exhibition

Pompidouのなかにいるときに、通り雨の土砂降りがあって、やめてー、だったのだが外に出たらきれいにあがっていて、そのままGrand Palaisに行った。 並び始めた時点で5時少し前、これも中に入るまでに1時間くらいかかった。

ロダン(1840-1917)の没後100年を記念してロダン美術館と共同開催している展示。
200以上のロダン作品、彫刻にドローイングに、彫刻でもでっかいやつから拳よりちっちゃい生首(ほしい..)とか、いっぱいと、彼以外のアーティスト - Brancusi, Picasso, Matisse, Giacometti, Willem de Kooning, Beuysあたりまでの作品を並べて置いたりしている。

ロダンを見るといつも「かっこいい身体」とか「原型」みたいな言葉が浮かんで、とにかくかっこいいなあ、しかない。 あんなふうにポーズをとって考えたいし空を仰ぎたいし突っ立っていたいし、あんなふうに抱擁したいしキスしたいし、みたいなことを切望して、でもできないので石膏固めにされるか石膏ぶつけられるかしちまえ、みたいになる。 ロダンを見ているとそういうため息の連続のなかで酸欠になることが多いのだが、今回は他のアーティストのがうまく隣や横で適当に(無言で)つっこんでくれたりしているので、なかなか素敵だった。

カタログは買わない。立体の展示だし。


Camille Pissarro : le premier des impressionnistes
日曜日の朝最初に行ったのがMusée Marmottan Monetでのこれ。パリでPissarroの回顧展が開かれるのは40年ぶりだそうで、展示されている絵を見ていくとヨーロッパだけではなくてアメリカのピッツバーグとかミネアポリスとかデンバーとか、よくこんなとこから運んで纏めたよね、な60点がびっちり並んでいて、それらを眺めていくだけで日曜の朝の散歩としてこんなに気持ちよいもんはなかった。

前日のロダンではないけど、Pissarroが描いた田園風景とか小道とか、その光や奥へと誘う広がりとかって、その後のいろんな写真とか映画とかに緩やかに反映されて(好きな言葉ではないけど)「原風景」みたいになっているんだろうな、とか思った。

Marmottanに来たのは初めてで、Pissarro展以外で訪れた理由としては有名なMonetの常設展示のほかにBerthe Morisotのコレクションがあるからで、それもすごくよかったの。小さな落書きみたいなデッサンもいっぱいあるし、Manetの描いた有名な彼女の肖像画も。

Pissarroのカタログは買わなかった、けどMorisotのほうを買っちゃった。

Baroque during the Enlightenment: 18th Century Masterpieces in Paris Churches

Marmottanの後、地下鉄の広告で見ていたやつを見たくなってPetit Palaisに行った。
混んでいたらやめよ、だったのだがぜんぜん列もなくてがらがらだった。

18世紀のバロックの光に溢れた絵画とか彫刻とかを広々したスペースにいっぱいに並べてある。
有名な、特別な逸品みたいのはないかんじ(たぶん)なのだが、展示してある場所がとっても気持ちよく荘厳で神々しいのでありがたやありがたや、って半部懺悔しつつ参拝するかんじで通り過ぎる。 Pissarroとは別の意味で日曜日の朝向けだったかも。

From Watteau to David: The Horvitz Collection

アメリカ人コレクターJeffrey Horvitzが集めたコレクションから、フランスのデッサン画を中心にあれこれいっぱい展示していて、どれもめちゃくちゃ巧くて構図も決まっててかっこいい。BouchardonにしてもHubert RobertにしてもGreuzeもFragonard(こいつ、変だけど)も。

ここの常設展示も、てんでばらばらで油断ならなくて、おもしろかった。


パリから戻った翌日の17日にはBrightonに海を見にいって、Brighton Museum & Art Galleryていうのを見かけて、”Constable and Brighton”ていう企画展をやっていたので入ってみた。 Constableは数年前にLondonのRoyal Academy of Artで規模大きめの企画展があって、このひとの海はすごいなー、て思ったのだった。 展示点数は少なかったけど、こじんまり纏まっていてよかった。この美術館、そんなに大きくないのに絵画だけじゃなくてファッションも映画も家具も陶器も、地元の収集品を中心にほんとうにがんばっていて感動した。
次の企画展のタイトルは”Jane Austen by the Sea” だって。 がんばれ!!

学芸員のこと悪く言った日本のクソ政治家、ぜったい許さねえからな。

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