4.20.2016

[film] Richard Kern Film Collection 1983 - 2015

3月29日の火曜日の晩、渋谷でみました。
この週はなんかばたばたでここしか空いていなくて、なーんでいまRichard Kernなの? のあたりを確かめたかったかんじ。

彼の作品はNYであればAnthology Film ArchivesとかでKenneth AngerやStan BrakhageやGeorge Kucharなんかと並んで割と定期的に上映されていたりするので、ほとんどが見た覚えのあるやつだった。でも最近のは見たことなかったかも、だったので見てみよう、と。

結果として表出した怒りとか暴力とかを(主に)直截的に描くのではなく、いらいらとか、ざけんじゃねーよ、とか、つまんねー、とか、やってらんねー、とか暴発する手前の不穏で退屈でどうしてくれよう、の空気感とかざわめきを、撮る人と撮られるひとの距離も含めてそんなの知らねえよ、みたいに捕捉する。 どっかの知らない国の知らない動物や生物を撮ってみるかのように。 対象に寄り添うドキュメンタリーの視点も、なんらかのドラマとしての展開や収束を求める作家の視点もなくて、ただ獣道にカメラ置いてどうなるか、部屋の壁に穴をあけてみたらどうなるか、みたいなかんじ。

あるいは、手持ちの機材とレコーダー(カセットね)で、とりあえず、4~5分間音を出してみる、とか。

で、そこでそうやって開けられた風穴を通して80年代のNYの空気がぼうぼう吹いてくるの。
行ったこともない場所であり時間なのだが、わかるわかんないでいうと、はっきりとわかる - たまんないかんじなのだった。 最近の子達が見たら頭がおかしいか、心がどっかに逝っちゃった小汚い若者が猿みたいにひーひーくねくねしているだけなのかもしれないけど。
それって自分がKenneth Angerとかに感じるある種の距離感に近いものなのかどうなのか。

上映されたのは以下;

■Goodbye 42nd Street (1983)  4min.
■Stray Dogs (1985)  10min.
■Woman at the Wheel (1985)  7min.
■Submit to Me (1985)   12min.
■You Killed Me First (1985)  12min.
■Fingered (1988)   22min.
■X Is Y (1990)  4min.
■Nazi (1991)  2min.
■Face to Panty Ratio (2011)    2min.
■Clean (2012)    2min.
■FFP (2015)    2min.

あとは、”Death Valley 69” (1986) あたりが入っていてもよかったかも。
イメージでゆうめいなのはSonic Youthの”EVOL” (1986)のジャケットになった”Submit to Me”(音楽はButthole Surfersだけど)。”Xis Y”の音楽はCop Shoot Copだったり。

最近の - 歯磨きしているいろんな娘さんたちのいろんなスカートのなかを撮ったりしてる - American Apparelの広告みたいなの -  は、あんまよくわかんなかった。


あんま関係ないけど、4月16日のRSD2016。
この土曜日は、昼間に馬車道でChantal Akermanの追悼をするか、飯田橋でJacques Rivetteの追悼をするか、ていう泣きたくなるような選択の分岐があって、当日券がなくなりそうだった馬車道のほうを諦めて飯田橋に向かった。

ここ数年間のじたばたを通して、自分が探してて欲しいと思うような盤はRSDに決死で並ぶ人たちが求めるようなやつとは少し違うようなのであんまし急がなくてもよいのだ、というのがわかってきたのと、今年はそんなに欲しいとおもうのがなかったので、渋谷のレコ屋にいったのは夕方だった。

買ったのは7inch 6枚くらい、12inchをひとつだけ。

そのなかの“Patti Smith Horses Live Electric Lady Studios” - “Horses”のリリース40周年を記念して元のレコーディングが行われたElectric Lady Studiosで、少しの客を前に行われたスタジオライブを記録したやつ。 Rolling Stone誌でもレビューが出ていたが、録音のすばらしさと40年を経ても全く褪せない曲群の強さと。

2005年の11月、BAMで行われた30周年記念の”Horses”再現ライブは見ていて - もう10年かよ勘弁しとくれよ - このときのベースはFleaさんで、これもすばらしかったのだが、40周年盤のアレンジはこのときと基本同じで、なにを言いたいのかというと、オリジナルの75年バージョンの奇跡的な凄まじさなの。 あのときほどに混乱して絶望してつんのめって錯綜して生々しい音、ないよね、ていうのを改めておもった。

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